「ワンコイン納税」で送られる「奈半利米」
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 ◇奈半利町・・・奈半利米2合、額より特産品PR

 ふるさと納税額が四国の自治体でトップを誇る奈半利町が、500円で返礼品が受け取れる「ワンコイン納税」をスタートさせた。初めての人にも気軽に寄付してもらおうという試みで、町によると、寄付する人にとって税控除のメリットのない2000円未満の返礼品を設定しているのは、全国でも珍しいという。町関係者は「町名と特産品のPRにつながれば」と期待している。(大島渉)

 同町へのふるさと納税額は、2012年度に約1500万円だったが、14年度に2億円、15年度に10億円を突破し、総務省によると、昨年度は20億4000万円と全国の自治体で20番目の多さ。今年度も、これまでに約12億円と昨年度を上回るペースで推移している。 町によると、ユズの皮を餌に交ぜて育てた「ゆず豚」などが人気。町側も返礼品などを集めた通販サイトを開設し、日替わりで商品構成を変えるなどの努力を続けているという。

 ほとんどの自治体が2000円以上で返礼品がもらえるようにしている中、同町は500円の寄付に対し、著名な「お米マイスター」とタイアップして売り出し中の「奈半利米」を2合送ることを決定。コンパクトな形状の真空パックを導入することで、輸送時の温度管理の手間を省いて送料などコスト面の問題も解消し、今年10月に導入した。

 これまでに300件以上の寄付があり、町の担当者は「まずまずの滑り出し」。“お試し”でふるさと納税を考えている人や、税控除の効果を最大限に生かすため、他の自治体と合わせて寄付額の上限を目指す人も利用していると考えられるという。

 一方で課題もあり、町によると、インターネット上のサイトでは、2000円未満の返礼品が検索できないという。このため町は、奈半利米2合分を4個セットにして出品して「ワンコイン納税」へ誘導できないか検討しているほか、サイトの運営者にすべての返礼品を検索対象にしてもらうよう交渉することにしている。

 今後は、シラスを使った商品など「ワンコイン納税」の返礼品の種類を増やす予定。担当者は「1件あたりの額は少なくとも、件数が伸びれば、町の認知度アップにつながる」としている。

ふるさと納税 2008年に創設され、故郷など自分で選んだ自治体に寄付をすると、2000円を超えた分の住民税と所得税が控除される。限度額は家族構成や年収などによって異なり、限度額を超えた分は控除の対象にはならない。

2017年12月05日
YOMIURI ONLINE
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