今回の最高裁判決はNHKに優位なものだが、結果としては大きなマイナスになったと思う。
なにより、最高裁で争ってまで金をむしり取りたいという、NHK側の気持ちがあらわになってしまったこと。
ここでも何人かが指摘しているように、それはヤクザのやり方とさほどの変わりがなく、
とても公共の福祉という高邁な精神とはかけ離れている。
「払わなければ訴えてでも払わせる」という力の論理を全国民に披露した。

だが、NHK自身がよく知っているはずの放送法というのはそんなにご立派なものなのか。
不払いに対する罰則規定がないこの法律では、追いつめても無理があることはわかっていたはず。
なぜ罰則規定がないのか。それは「公共の福祉」という精神をあまねく浸透させた上に立つからである。
根気よく理解を図ることが基本で、「払わなければこうしてやる」という恫喝を見せるなどは逆である。
これで疑問を覚えた人は、「なぜ有料チャンネルみたくしないのか」という疑問を覚えるはず。
そして、現在の訪問員による勧誘は最もNHKが儲かるからという事実にやがて行き着く。

NHKは放送法に守られた独占事業体である。
だが戦後まもなくならともかく、およそ民主国家なら独占禁止法は等しく適用されるべきである。
少なくとも放送法に守られているのに裁判を起こしてまで個人を追いつめようとする組織は存立が疑問である。
国民は馬鹿ではない。
最高裁判決はこの組織の崩壊の序曲のような気がする。