JR北海道再生推進会議は12月6日、北海道民、北海道知事、北海道内市町村長、国土交通大臣、JR北海道社長に対する声明を発表した。

同会議は、安全対策や路線維持問題などを抱えるJR北海道に対し、外部の視点からコンプライアンスや組織経営の面での助言を行なう機関で、2015年6月26日には「JR北海道再生のための提言書」を公表している。

この提言書では、JR北海道の限られた経営資源を安全対策に集中させ、配分できない事業については見直しを行なう「選択と集中」を提言。鉄道の特性を発揮できない路線については見直しを行なうなど、「JR北海道の経営全体について聖域のない検討」を促している。そのうえで、北海道内の地域公共交通機関のあり方を、広い視野から検討する会議体の設置を提案している。

今回の声明では、提言書で示した内容が進展したのは、2016年にJR北海道から「当社単独では維持困難な線区」が発表されたことに留まっており、沿線市町村との協議が遅々として進んでいないことを強く憂慮。

破綻後に北海道経済に与える影響について、JR北海道から道民への説明が不足していること、JR北海道批判を口実に、議論を拒否している市町村があること、JR北海道に具体的な行動をさせる国の指導が不十分なこと、を問題点として指摘している。

そのうえで、JR北海道に対しては「尻込みしてばかりでは物事を前に進めることはできません」と強い口調で迫っており、「できること」と「できないこと」を明らかにし、内容の善し悪しに拘わらず、道民に対しては徹底的に情報を開示していく姿勢が求められるとしている。

一方、北海道に対しては強いリーダーシップ、関係市町村の首長に対しては「それぞれの地域に合った効率的で持続可能な交通システム」のスキームを早急に確立し、「一歩踏み出す」ことを求めた。

また、国に対しては、「国家的な見地からの高度な政治判断」により維持する路線を除いて、安易な税金投入は許されないとし、残す部分と残さない部分の区分けを明確にするべきとした。

道民に対しては、「将来を見据えた、現在よりもっと便利な交通システムとは何か」「そのためにJR北海道に何をさせるか」という議論を促している。

声明では最後に、「これまでのような時間の浪費は、もはや許されません」と強い口調で述べており、路線の維持・廃止を含む「それぞれの地域に適した持続可能な交通システムの設計図」を1年以内に明確に示すことを強く求めている。これは、いわば「最後通牒」的なニュアンスが含まれていると言ってよいのかもしれない。

配信2017年12月8日(金) 15時56分
レスポンス
https://response.jp/article/2017/12/08/303502.html