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2017年12月8日 15:10 発信地:アビジャン/コートジボワール

【12月8日 AFP】フローラ・ドゥム(Flora Doume)さんは、これまで20年間の人生のうち17年間を世間から隠れて生きてきた。そして今、不安な様子で、変形してしまった顔面を治す手術を待ちわびている。普通の人生を送る希望を取り戻す手術だ。

 彼女が水がん(壊疽性口内炎)にかかったのは3歳のときだった。この厄介な壊疽性の病気は口周辺の小さな潰瘍から始まって広がり、唇や表皮、筋肉を破壊する。

 フローラさんの場合、潰瘍は目を覆い、顔の左側に広がった。彼女を避けたりあざけたりする世間から隠れるようになった。

 コートジボワールの商業的中心都市、アビジャン(Abidjan)の民間病院で行なわれる手術を前に、フローラさんは「いつも家の中にいました。読み書きはできません。学校に通ったこともありません。働くこともできません」と語った。

 世界保健機関(WHO)によれば、水がんは患者10人のうち9人が死亡する細菌性疾患だ。免疫力が弱い幼い子どもに主に発症するこの病気は、口やその他の組織の粘膜を破壊し、しばしば顔に穴がぽっかり開くなど、患者の外見がひどく損なわれる。

 WHOによると、世界では推計50万件の症例があるが、その大半はアフリカだ。治療を受けて治すことはできるが、それは治療が間に合ううちに発見され、薬と適切な栄養摂取が可能な場合に限られる。

 顔面整形手術を専門とするスペインの外科医、アンヘル・エンパランサ(Angel Emparanza)氏は「これは貧困、栄養不良、劣悪な衛生環境に住む人々の病だ」と語る。同氏は医療を全く、またはほとんど受けることができない患者に、人生が変わる手術を施すために、2003 年以降、定期的にケニア、ナイジェリア、コートジボワール、ブルキナファソに通っている。

 コートジボワールの医学教授、ギー・バランゴ(Guy Varango)氏は「水がんは大きな社会的影響を及ぼす」と語る。同氏はフローラさんの例を挙げ「これは病気だ。なのに村人の多くは悪魔や魔術のせいにし、その病にかかった人々を追放する」と述べた。患者に向けられるあざけりや侮辱は、社会的、心理的に破滅的な結果をもたらしかねない。

■屈辱

 フローラさんは手術を待ちながら、恋人ができたことがないなど、残念なことについて思いをめぐらす。「恋愛を知ることなんてできません。外に出れば、皆が私を見て笑うのだから」

 ダナネ(Danane)地域の障害者団体の会長で、自身も盲目のティウ・フーベルソン(Tieu Huberson)氏は「患者は外出したくないと感じている。皆から見られるのです。その屈辱を想像してみてください」と言う。同氏の団体は村長らと協力して地元住民らの教育に努めてきた。手術によって患者の身体的また精神的な健康が改善できると信じている。

「医師がフローラに手術をすることになったよと言ったら、彼女は涙を流しました。私たちは彼女に、あなたは美しい少女だと言いました。それは彼女が生まれた始めて受けた褒め言葉だったのです」

■未来

「ある日の笑顔(Sourire Un Jour's)」というボランティア団体による貧困者支援には、手術、食料、患者宅から病院までの送迎など、あらゆるものが含まれている。

 複雑な外科手術を終えて数日後、フローラさんは回復室にいた。何年もの間、鏡を敵のように恐れていた彼女は、新しい顔を目にしたばかりだった。「嬉しいです」とフローラさん。「夫と子どもを持てるようになるわ」

(c)AFP/Patrick FORT

手術前
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手術後
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