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12月12日 18時52分
自民党と公明党は、与党税制協議会を開き、来年度の税制改正で焦点となっている所得税の控除の見直しで、増税の対象となる会社員を、当初検討していた年収800万円を超える人から年収850万円を超える人に絞り込むことなどを14日に取りまとめる予定の税制改正大綱に盛り込むことで正式に合意しました。

自民党税制調査会の会合では、焦点となっている所得税の控除の見直しをめぐり、会社員を対象とした「給与所得控除」を、年収850万円の人から195万円で頭打ちとすることによって、増税の対象を当初検討していた原則として年収800万円を超える人から、年収850万円を超える人に絞り込む修正案が示されました。
これに対し出席者から異論は出されず、了承されました。

また、公明党税制調査会の総会でも、同様の案が示され、出席者からは「増税の対象をさらに絞り込むことはできないか」といった意見も出されましたが、最終的に了承されました。

一方、両党の会合では、「紙巻きたばこ」にかけられている「たばこ税」を、2018年、2020年、2021年の、いずれも10月に、それぞれ1本当たり1円ずつ増税することなども了承しました。

これを受けて、自民・公明両党は12日夜、与党税制協議会を開き、こうした内容を14日に取りまとめる予定の税制改正大綱に盛り込むことで正式に合意しました。

控除見直しでどう変わる

「給与所得控除」は、会社員などの所得税を計算する際、給料の一定額は必要経費になっていると見なして、収入から差し引くことで税の負担を少なくする仕組みです。

ただ、対象になるのは会社員などで、企業から仕事を請け負って会社員と同じような仕事をするフリーランスの自営業者は適用になりません。

このため、働き方や稼ぎ方で控除に差が出ないよう、「給与所得控除」を全体的に10万円縮小し、そのかわりに、すべての納税者を対象に一律38万円を差し引く「基礎控除」と呼ばれる控除を10万円増やします。これによって、自営業者は減税になります。

そのうえで、現在、「年収1000万円以上の人は控除額を一律220万円」としている上限を引き下げ、年収850万円以上の人は一律195万円で頭打ちにします。この結果、年収850万円を超える会社員などは、原則、増税になります。

控除の見直しは、2020年1月から実施されることになっていて、これが実現した場合、年収900万円の人は、今よりも年1万5000円程度、950万円では年3万円程度、1000万円では年4万5000円程度、2000万円では年6万5000円程度の増税になる見通しです。

ただ、年収850万円を超える会社員でも、22歳以下の子どもがいる人や、重度の障害があって介護が必要な家族などと生計をともにしている人は、増税にならないような仕組みを導入する考えです。

財務省によると、増税となるのは、会社員など給与所得者のおよそ4%に当たる230万人前後になる見込みだということです。

自民 宮沢税調会長「異論なく了承してもらった」

自民党の宮沢税制調査会長は記者団に対し、「公明党に都市部の議員が多いこともあり、いろいろ意見が出たが、われわれも、年収800万円での線引きで本当にいいのかという気持ちがあった。『給与所得控除』の見直しはこれが最後ではなく、状況を見極めつつ、また『基礎控除』への振り替えも考えなければいけない。異論なく了承してもらった」と述べました。