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 東北・北海道で「最後のキャバレー」といわれ、2015年末に惜しまれながら閉店した山形県酒田市日吉町の「白ばら」が30日、ステージを楽しみながらお酒を酌み交わす飲食店として営業を再開する。

 資金集めなどに奔走した地元有志らは「昭和の薫り漂う『大人の社交場』がついに復活する。お客さんと一緒に店を成長させていきたい」と、オープンを心待ちにしている。

 白ばらは1958年にオープンし、最盛期の70年代には約100人のホステスが在籍。中尾ミエさんや山本リンダさんら人気歌手がステージに上がったこともある。しかし、バブル経済崩壊後に客足が遠のき、2015年末、半世紀以上の歴史に幕を閉じた。

 その後、同市出身で音楽集団「上々颱風(シャンシャンタイフーン)」のボーカルとして知られる白崎映美さんら、同店を愛した地元の有志でつくる「Save the 白ばら」が、コンサートや撮影会などイベントスペースとして活用していた。だが、設備の老朽化が激しいうえ、不特定多数の人が集まる場所のため、消防から自動火災報知機や誘導灯などを設置する必要性も指摘され、しばらく利用を休止していた。

 ◆有志ら資金集め

 設備改修にかかる資金を調達しようと、白崎さんや有志団体代表の佐藤仁さん(54)らが中心になり、クラウドファンディングを4〜6月に実施した。目標額350万円を超える約392万円が集まり、その他の寄付などを合わせると計約460万円が全国から寄せられた。

 寄付金をもとに夏以降、消防設備などの改修に着手。11月27日には店の管理や運営を行う合同会社「白ばら友社ともしゃ」を設立するなど、準備を進めてきた。

 設備改修は、開店後も店の収益を充てて続けられる。将来的には、ギターやベースのアンプ、ドラムセットなどを設置するほか、スポット照明の充実など、本格的なバンド演奏を楽しめる環境を目指すという。

 ◆夜の文化センターに

 当面の営業は水、金、土の週3日の午後8時から深夜まで。「水曜はジャズの日」など曜日によってテーマを設け、同じ趣味を持つ人が集まりやすくするなど、「『夜の文化センター』として機能させたい」(佐藤さん)という。

 開店日の12月30日は、2年前に白ばらが閉店した日に当たる。佐藤さんは「2年で再開のたすきをつなぐことができ、感無量。店の収入を設備投資に充て、利用者とともに白ばらを成長させていきたい」と意気込んでいる。

 収容人数は、通常営業時は70〜80人で、イベント時は約120人。貸し切りも可能。問い合わせは、佐藤さんへ

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