ホンダの子会社「ホンダカーズ千葉」(本社・千葉市中央区)の自動車販売店の男性店長(当時48)が昨年12月に自殺したのは、長時間労働などによるうつ病が原因として、千葉労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。認定は今年6月16日付。遺族の代理人弁護士が19日、明らかにした。

 男性は2015年3月、千葉市内にオープンした店の店長になったが、部下の残業を減らすために代わりに残業するなど長時間労働を続けたという。同年6月に行方がわからなくなり、2カ月後に戻ったが、ストレス性うつ状態と診断された。同年8月、無断欠勤などを理由に書面で懲戒解雇を通知され、昨年12月20日に自殺した。

 代理人弁護士によると、千葉労基署は@店のオープンの準備期間が短く焦りや不安を生んだA時間外労働が80時間を超える月が2回あったB13日連続や17日連続の勤務をしていたC3カ月連続の赤字でノルマを達成できなかった――などが原因でうつ病を発症したと判断し、労災と認めたという。

 男性の妻は19日、代理人弁護士を通じて「中間管理職に負担が来てしまうことがあると思います。(会社に)重く受け止めて対処してほしい」とコメントを出した。遺族側はホンダカーズ千葉に未払いの残業代や慰謝料などを求める訴訟を千葉地裁に起こしている。

 千葉労基署は取材に「個別の事案には答えられない」、ホンダカーズ千葉の代理人弁護士は「係争中のためコメントできない」としている。

 労働問題に詳しい森岡孝二・関西大名誉教授(企業社会論)は「働き方改革が叫ばれ、残業させない風潮が広がっているが、働き手は増えず、仕事も減らず、中間管理職は負担が増えている」と指摘。そのうえで「管理監督者の労働時間を会社がしっかりと把握する必要がある」と話した。(滝口信之)

配信2017年12月19日19時34分
朝日新聞デジタル
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