日本政策投資銀行北陸支店は18日、金沢市内のホテル投資に関するリポートで、2016年に75%だった客室稼働率が21年に69%まで低下するとの予測を発表した。国などの統計を基に需給動向を試算した結果、客室数が現在の3割増と宿泊者数の伸びを上回る見通しとなった。同支店は「足元の開発ラッシュで供給が需要を上回り、ホテル間の競争が激化する可能性がある」としている。

リポートによると、金沢市内の都市型・ビジネスホテルは16年時点で55施設となっている。17〜20年にかけて新たに15施設(改築物件を除く)の新規開業が見込まれており、投資額は建物だけで少なくとも約370億円規模に上るという。

客室稼働率の試算に当たっては、宿泊者数が年2%増(12〜16年の平均増加率)のペースで21年まで伸び、外国人比率が現在の京都市と同じ2割超になると仮定した。

この結果、年間宿泊客数が現状より約61万人多い345万人に増えても、客室稼働率は69%に低下し、70%を割り込んだ。この水準は新幹線開業前の13年とほぼ同じで、北陸信越エリアの主要都市と比較すると福井や新潟を下回るという。

試算結果について、日本政策投資銀行北陸支店は「ある程度の需要の伸びを前提にしたとしても、ホテル投資はやや過大ではないかと推察される」(担当者)と懸念を示した。

その上で、競争激化によるホテルの淘汰(とうた)を回避するため「地域の迎賓館的な機能を生かし、1階を飲食店として開放するなど地域のニーズを取り込む取り組みが望ましい」とした。

配信2017/12/19 02:02
北國新聞
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/K20171219302.htm