千葉日報 2017年12月24日 05:00 | 無料公開

千葉県内で外国人が原因となった交通人身事故が、ここ5年で2倍近く増えている。成田空港ではレンタカーを借りる訪日客が増え、母国とは違う日本の交通ルールや車の運転に戸惑いトラブルになることも。
県警や関係団体は外国語の啓発冊子を作るなどして安全運転を呼び掛けているが、2020年東京五輪・パラリンピックに向け訪日客の増加とともに、外国人が絡む交通事故が増えることが予想される。
7月からは道路標識に英語を併記する新たな取り組みも始まり、外国人への交通安全対策が課題の一つになりそうだ。

県警交通総務課などによると、県内で交通事故の原因をつくった第1当事者が外国人だったケースは、12年が136件だった。
13年167件、14年171件と徐々に増え続け、15年に239件、16年には252件で、5年間で1・8倍に増えた。今年は10月末までに212件発生している。

車の運転だけでなく、自転車を運転して信号無視で事故が起こり自身がけがした場合なども含まれている。
詳しい事故分析や統計を取っておらず、訪日客と日本に住む外国人のどちらに事故が多いのかは不明だが、第1当事者の国籍は中国、韓国・北朝鮮、フィリピンの順で多かった。

外国人からの県内110番通報も12年の1906件から16年には2560件に増加。このうち交通関係の通報だけをみても、292件から452件と1・5倍になっている。

県レンタカー協会の調べでは、今年上半期の成田空港でのレンタカー貸し出し件数は7277件で、前年同期比1・3倍。香港やタイ、韓国からの来日した外国人の利用が目立つ。

レンタカーを利用する外国人が増える中で、トラブルも発生。日本語の道路標識が理解できなかったり、セルフガソリンスタンドでガソリン車に軽油を入れてしまうこともあるという。

五輪を見据え、外国人にも分かりやすい標識にしようと法令が改正され、7月から「止まれ」(一時停止)標識に「STOP」が、「徐行」標識に「SLOW」が併記されることになった。
更新時に随時入れ替えていく。県警交通規制課によると、10月末時点で「止まれ」「STOP」が併記された標識は県内に173カ所あり、徐行標識はない。

各レンタカー店では、日本の交通ルールや駐車場の利用方法などを説明した冊子を外国人利用者に配布し、トラブル防止を呼び掛けている。英語をはじめ中国語、タイ語、韓国語版などを作製している。

県警も日本で働く外国人への講話などで、外国語の冊子で道路標識の意味や110番通報についてレクチャー。外国人からの110番通報を受けた場合は、11カ国語に対応できるように通訳を配置している。

「止まれ」と「STOP」が併記された一時停止標識=千葉市中央区南町3
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