岐阜市の学校が保護者宛に夜間の電話応対の制限を知らせるために出した通知
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◆保護者 緊急時の相談懸念も

 岐阜市など県内の一部の小中学校で、教員の勤務時間外となる夜間は電話の応対をやめる動きが出始めている。教員の長時間労働を防ぐ働き方改革の一環。保護者らからは緊急時の対応などに懸念の声が上がり、学校によって対応は分かれる。岐阜市教育委員会は「長時間勤務の改善のため、保護者や地域の理解を得ながら進めている」と理解を求めている。

 文部科学省の昨年度調査によると、月の残業が「過労死ライン」とされる80時間以上の教諭は中学校で57・7%、小学校で33・5%に上った。際限のない電話対応は長時間労働の一因になっているといい、文科省は8月末にまとめた働き方改革の緊急提言に、勤務時間外の問い合わせ対応のため留守番電話の設置を進めることを盛り込んだ。

 岐阜市ではこの提言を受け、時間制限を設ける学校が出てきた。市教委は希望校には留守番機能のある電話機を順次設置している。

 ある中学校では毎週水曜日を「健康管理の日」と定め、「午後6時半以降は電話には応答できません」とする文書を9月末に保護者に配布した。午後6時半以降は留守のメッセージが流れる。同じ地域の小中学校が連名で、平日夜7時〜翌朝7時半は電話連絡を控えるよう保護者に伝えたところもある。

 羽島市では11月から週1日程度教員が早く帰る日を設定し、留守電を全公立校に配備。瑞浪市では本年度中に留守電を設置する。

 郡上市も10月、午後7時以降の学校への電話は控えるよう保護者に通知した。担任らの携帯電話の番号を緊急連絡先として伝えている。

 一方、「子どもの問題を早くキャッチしたい」などとして時間制限を導入しない学校もある。岐阜市のある中学校長は「自殺やいじめなど、逃してはならないサインもありうる」と指摘する。

 電話制限のある小学校に2人の息子を通わせる母親(44)は「教員は大変と聞くので負担が減ればよい」と理解を示しながらも、「フルタイムで働く親が時間外に家に帰ってきて子どもの異変に気付いても、学校に相談できない」と懸念する。緊急時の対応策が示されないことも不安だという。

 学校以外の緊急時の対応では、いじめなどに関する子どもや保護者向け電話相談「子供SOS24」が24時間対応で受け付けている。また警察が対応するような事態が発生すれば深夜でも教員に連絡が入る。

 岐阜市教委は電話の時間制限について「メリットもデメリットもある」といい、「どこまで学校の先生が対応するべきなのか線引きは難しい」と打ち明ける。

 県内各市の教委担当者は来月開く会議で、この問題についても意見を交わす予定だ。

配信2017年12月23日09:05
岐阜新聞
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