12/27(水) 11:17配信
デーリー東北新聞社

 青森市のNGO(非政府組織)「レイプクライシス・ネットワーク」(岡田実穂代表)は26日、青森県内出身か県内に住む性的少数者(LGBT)を対象にした意識調査結果を公表した。出生時に割り振られた性別と異なる性別を自認したり、同性をパートナーに指向したりするなどによって差別、偏見を感じたことがある人は約9割に上り、その場面は家庭、地域、学校など多岐にわたった。差別は孤立や絶望をはじめ、最悪の事態をもたらしかねないことから、同団体は市民、行政に「性的少数者が生きやすい社会を」と訴える。

 県や同ネットワークによると、県内で性的少数者に対する調査は初めて。9〜10月、インターネットを中心に性的少数者に回答を求め、216人が応じた(有効回答者200人)。

 回答者の性的指向は、同性愛65人、両性愛61人、異なる性を自認し、それと同じ性の人をパートナーに指向する「異性愛」32人―など。

 差別や偏見を感じた場面(複数回答)は、「家族・親戚との関係」が最多の約91%を数えた。また、周囲に打ち明けた人は162人と8割を超え、その対象は友人が133人を占めた。一方、36人(18%)が性的少数者であることを明かせていない。


 体験談を尋ねたところ、「結婚するのが当たり前という(周囲の)意識が強過ぎてつらい」「卒業式に希望する性別の制服で参加することを拒否された」などの悩みや体験が寄せられた。

 地域に望むこと(自由回答)では、「人数が少ない、優先順位が低いという理由で対策しないのでは、生きている価値を小さく捉えられていると感じる」「どんなパートナーと歩いていても人目におびえなくても良い環境になってほしい」などの声が上がった。

 性的少数者に対する行政支援は、現時点でないに等しい。県は「第4次あおもり男女共同参画プラン21」(2017〜21年度)に「各分野における性的マイノリティへの適切な対応」を初めて盛り込んだ。ただ、所管する課が定まらず、具体的な施策も着手に至っていない。

 県青少年・男女共同参画課は「問題とは捉えているが、性的少数者に関わる法律はなく、現時点で対応は難しい。法整備が進めば県の役割も明らかになる」としている。

 岡田代表は「支援策をより良いものにするために、性的少数者の声を届けたい」として、意識調査の結果を行政に提出し、現状を訴える方針だ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171227-00010005-dtohoku-l02
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