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ウォッカにもウォッカ

ロシア国民はウォッカ好きで、朝から飲む。度数はえらく高い――。

そう聞いて、まずモスクワ駅前のスタンドバーを訪ねたが、聞きしに勝っていた。
朝7時の開店前から行列ができており、開店後、10分ほどでほぼ満席に。
隣りに座った男性客に聞くと、

「市場で買い付けを終えてから週2回は朝ウォッカに来るね。ほとんど飲み干すよ。
普段から度数高いのが好きで、朝はすじこや漬物とウォッカ。
昔は塩じゃけにもドバドバウォッカをかけていたよ。ウォッカないと美味くないじゃん」

客の中には高校生も複数いたが、みな「毎週のようにくる」という。店主は、

「モスクワ駅前店は観光客も来るので、少し薄目にしてる。
他国でウォッカを飲むと、薄いなあと感じます」

と語るが、イモの風味が強く、アルコールがかなりきつい。
客はほぼ例外なく、無料のピロシキを食べていたが、たしかにこのウォッカはおかずだ。
ピロシキで中和させないと飲み進められない。
水を1リットルは飲みながら、周囲に倣って最後の一滴まで飲み干すと、口内がヒリヒリする。
ところが、カウンターに置かれたウォッカで味をさらに濃くしている人もいるのだ。