神戸市立王子動物園のホームページ
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東京・上野動物園のジャイアントパンダの赤ちゃん、シャンシャン(香香)の一般公開が12月19日から始まり、初日の公開を見るための抽選倍率は約45倍の人気となりました。マスコミでも、テレビのワイドショーでは一般公開の生中継がさまざまな局で放送されたほか、NHKの全国ニュースでもトップニュースとして大きく報じるなど「過熱報道」にも見えるパンダフィーバーぶりです。

 一方で、日本には上野のほかにも、和歌山で5頭、神戸で1頭が飼育されていることはあまり報道されませんでした。日本のニュースは首都圏を中心に動いているとも感じられますが、上野の報道を受けて神戸市はツイッターで神戸にもジャイアントパンダはいますよ、とツイート。和歌山県知事もPR戦略を練ると発言し、上野の報道過熱を逆手にとり、相乗効果を狙う動きが見られます。

■「忘れられているのでは」…… 和歌山県、神戸市が上野パンダフィーバーに反応

 和歌山県白浜町の「アドベンチャーワールド」には2014年に生まれた桜浜(おうひん)・桃浜(とうひん)、2016年に生まれた結浜(ゆいひん)など5頭が飼育されています。

 同県の仁坂吉伸知事は20日の記者会見で、「最近のマスコミを見ると、上野のシャンシャンしか世の中にいないのかという報道だ。(和歌山の)地元記者は白浜のパンダをもう少しアピールしてほしい」と釘をさしました。

 しかし続けて「もっとゆっくりパンダと遊びたいなと思えば白浜に来てもらえればいい、というようなメッセージを(上野に)来られている方にどうやって届けるか考えないといけない」とも話し、上野に行く人に白浜もPRする戦略を練りたいという方針を示しました。

 兵庫県神戸市の王子動物園でもジャイアントパンダ、旦旦(タンタン)を見ることができます。神戸市広報課は21日、公式ツイッターで神戸市のHPのトップ画面を旦旦の動画にしたと投稿しました。同市は「上野動物園のたくさんの報道や、和歌山県知事の発言などを受けて、神戸のパンダは忘れられているのではという声をいただいた。置いていかれないためにも発信した」と説明。「王子動物園ではガラス越しでなく見ることができる。パンダだけでなくコアラの赤ちゃんも2017年に誕生しており、アピールしていきたい」と意気込んでいます。

■首都圏と地方で発信量に差、専門家「地方の報道は質上げて」

 パンダ報道が上野動物園に集中しすぎているのではないかという見方について、経済評論家の山崎元氏(楽天証券経済研究所客員研究員)は「関東圏に人口が多く、上野動物園のパンダの話題性に多くの人が食い付くのだから、報道が多いのは経済的にも人情の上でも当然ではないでしょうか」と指摘。「上野のパンダが話題になったおかげで、和歌山のパンダを紹介し、こちらの方が数も多いし、ゆっくり見られる、という記事もあり、上野の報道がプラスにこそなっても、マイナスになっているわけではありません」と話し、和歌山県や神戸市の動きを評価しています。

 一方で地震や台風といった災害報道、事件事故などの報道も関東圏とそれ以外で発信量に差があるという見方もあります。2016年に起きた九州の地震の続報や、東日本大震災で長期間の避難生活を余儀なくされた人々の追跡報道も首都圏などでは最近あまりみられません。

 山崎氏は、「困難な事態にいる人々について、継続的に報道することは必要ですが、供給サイドの選択よりも、需要サイドの関心の持ち方の問題だと思います。地方の話でも継続報道を重要だと思ってもらうには、報道の質を上げて、需要サイドの心を動かす以外にないでしょう」とみています。

>>2以降に続く

配信2017.12.30 11:00
THE PAGE
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