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 福島県や松川浦漁港(相馬市)の市場関係者が、同県沖で漁獲されたヒラメの輸出を計画していることが分かった。2018年3月にもタイ・バンコクに第1便を出荷する。実現すれば東京電力福島第1原発事故後初めての県産水産物の輸出で、海外展開の第一歩となる。
 県産水産物は風評被害で市場価格が回復せず、出漁回数などを減らす試験操業が続く。「常磐もの」として東京・築地市場などで高く評価されてきたヒラメの輸出が、風評払拭(ふっしょく)の先導役となることが期待される。
 関係者によると、松川浦漁港に水揚げされた生鮮ヒラメを3月ごろ、バンコクに空輸する。専門商社を通じて現地の日本食レストランなどで、刺し身やすし種として提供したい考え。県や魚市場関係者は継続的な出荷を目指している。
 年間2万5000トン前後の水揚げがあった福島県の沿岸漁業は、原発事故で全面休漁。12年6月、ミズダコなど3魚種で試験操業が始まった。放射性物質モニタリング検査で安全性が確認され、10種を除き魚種の大半が出荷可能となった今も漁獲量は年間3000トン程度にとどまる。
 ヒラメは「常磐もの」を代表する魚種。原発事故前は500トンを超える水揚げがあった。16年9月から試験操業を行っている。輸出は原発事故前も含めて初めてで、県産魚介類の安全性や品質の高さをアピールできると関係者はみる。
 県産の農林水産物を巡っては、主要輸出先だった中国や台湾など一部の国・地域が輸入規制を続ける。県や農協などは風評被害が少ない東南アジアを中心に販路開拓を進めており、17年度のモモとコメの輸出量は過去最多となる見通し。

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