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■アマゾンは採算度外視した手法でライバルを駆逐

アマゾンは独特の経営手法を採る。目先の利益を度外視して、赤字でもいいからシェアを拡大する。また、大規模な物流システムとECサイトの拡充を優先してサイトの巨大化を図っている。ライバルを駆逐して圧倒的なシェアを握れば、利益は後からついてくるとの考えだ。



米アマゾン本体の最終損益が黒字に転換したのは15年12月期だ。無配を継続したが、そもそも多くの投資家は配当など当てにしていないだろう。いかに成長するか、株価が上がるかで投資しているからだ。アマゾンの経営は時価総額の最大化に価値を置く。アマゾンの時価総額は63兆円(12月8日時点)。アップル、マイクロソフトに次いで世界第3位だ。

 

日本に上陸したアマゾンは、採算を度外視した手法でライバル社を蹴散らして駆け上がってきた。アマゾンの日本事業の16年(1〜12月)売上高(ドルベース)は107.9億ドルで、前期比30.6%増だった。

 

16年の年間平均為替レート(108円)で換算すると、日本事業の円ベースの売上高は前期比17.5%増の約1兆1653億円となる。アマゾン日本事業の売り上げには、直販のほか第三者による販売(マーチャント売り上げ)の手数料収入も含まれる。

 

アマゾンは書籍や文具、各種玩具、さらに飲料・食料品や大型動物の実物大模型に至るまで多種多様な商品を取り扱う。さらに、地域によっては、注文した翌日どころか、当日に商品を入手できる。ECサービスの本質的な部分で楽天をしのいでいる。

 

9月には日本でオフィス向け通販に本格的に乗り出した。10月にはファッション分野の強化の一環として、都内に世界最大の撮影スタジオを建設する計画を明かした。

 

アマゾンのような直販型は、商品の仕入れコストはかかるが自社の方針通りに運営できる。取引先はエンドユーザーだ。これに対して、楽天のモール型は商品の仕入れコストはかからないが、あくまで商品の販売は出店している企業が行うので、自社の思う通りには運営できない。直接の取引先は、出店している企業でエンドユーザーではない。

 

直販型のアマゾンとモール型の楽天。ビジネスモデルの違いが、両社の明暗を分けたといっていいかもしれない。


おわり