専業主婦やパートで働く主婦がいる世帯の所得税を軽減する配偶者控除制度が1月、改正された。世帯主である夫が控除を満額(38万円)受けられる妻の年収要件が「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げられ、パート主婦がより長く働きやすくなる。ただ、夫が高所得の場合は控除額を減らす新たな制限が設けられ、一部の高所得世帯は増税となる。

 政府・与党が平成28年末の29年度税制改正で決めた。国税の所得税は今月、地方税の住民税は31年6月の納税分から適用される。

 これまでは妻の年収が103万以下の場合、夫は一律38万円の配偶者控除を受けられた。103万円を超えると配偶者特別控除が適用され、控除額が38万円から段階的に縮小し141万円でゼロになる仕組みだった。

 今回の見直しでは、特別控除の対象を広げ、年収150万円までは最大38万円の控除を受けられ、150万円超から201万円にかけて控除額が徐々に減る。

 一方、配偶者控除が適用される夫に年収制限が設けられた。夫の年収が1120万円を超えると控除額が次第に減り、1220万円超でゼロ。夫の年収が1220万円超か、妻の年収が201万円超の場合は控除が受けられなくなった。

 財務省の試算では、今回の見直しで約300万世帯が減税になり、約100万世帯が増税になる見通し。パート勤務の妻の年収が141万円以上150万円以下で、夫の年収が500万円なら負担は年間5万2千円軽くなる。一方、夫の年収が1500万円で妻が専業主婦なら年間の負担は15万8千円増える。

 配偶者控除の見直しは、女性の社会進出を促す政府の「働き方改革」の一環で、「所得税改革」の第1弾。政府・与党が昨年12月に決めた30年度税制改正では、第2弾として32年1月からフリーや自営業者を減税し、年収850万円超の高所得者を増税する改革を盛り込んだ。

配信2018.1.4 18:03
産経ニュース
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