日韓交流人口の推移
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【ソウル曽山茂志】日本と韓国を観光などで行き来する「交流人口」が2018年、初めて1千万人を超える見通しであることが、日本政府観光局(JNTO)ソウル事務所への取材で分かった。17年は日本を訪れる韓国人が大幅に増え、交流人口は約940万人に達する見込み。18年も韓国の格安航空会社(LCC)が日本路線網を充実させる動きが続き、一気に大台を突破する勢いという。今後は相互理解をさらに深めるため、韓国を訪れる日本人の底上げが課題になる。

 旺盛な交流を支えるのは、韓国のLCC各社の日本路線拡大だ。JNTOによると、17年12月現在でLCC6社の日本路線は週700便あり、過去3年で5・2倍に増えた。この結果、ソウル−九州各地の航空運賃が最安で往復1万円以下になり、「日本は国内旅行感覚になった」(ソウルの旅行代理店)。

 多彩なグルメや温泉などを求める訪日韓国人は17年1〜11月に前年同期比41%増で、年間では710万人前後が見込まれている。特に、韓国人に人気の九州は福岡、大分を中心に60%増の勢いだ。

 一方、北朝鮮の軍事挑発や円安の影響で訪韓日本人は伸び悩み、17年は前年並みの230万人程度になる見込み。合算の日韓交流人口は前年比27%増の約940万人が予想される。

 関係者によると、18年は韓国のLCC各社が新たに20機前後の旅客機を購入し、多くを日本路線に投入する計画。利便性の向上で訪日韓国人は800万人を超える情勢。特に17年末に韓国のLCCが就航した鹿児島、宮崎と、今後就航の動きがある名古屋地区で増えそうという。

 一方、訪韓日本人は北朝鮮情勢が不透明な中、18年も横ばいか微増とみられる。JNTOソウル事務所の熊野伸彦所長は「日韓の交流人口が1千万人台を突破する可能性は相当高い」と指摘する。

 17年末に韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が従軍慰安婦問題を巡る15年の日韓合意について「重大な欠陥がある」とする声明を発表、日韓関係はさらに冷え込む恐れがある。新潟県立大の浅羽祐樹教授(韓国政治学)は「それぞれの国で良い出会いや思い出ができれば、長期的には両国の信頼関係にプラスに働くだろう」と話している。

2018年01月05日 06時00分
西日本新聞
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