神戸市内では唯一の店舗。湊川商店街に面する「ドムドムハンバーガー湊川店」=神戸市兵庫区荒田町2
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ゾウのマークに赤い看板。一度聞いたら忘れない名前の響き。あの「ドムドムハンバーガー」を覚えていますか? ダイエーの資本で、全盛期は「ドムドム大国」だった神戸。ライバルに押された現在は市内にわずか1店舗を残すのみとなった。しかし、ファンの支持は脈々と続き、復活を賭けた新たな動きも出てきた。

 ドムドムは、ダイエーが1970(昭和45)年に設立した。なんと、日本に進出したマクドナルドより一足先に1号店を出店。国内最初のハンバーガーチェーンとされる。

 創業者・中内功氏の出身地である神戸に本拠を置き、全国へと拡大していったダイエー。そのダイエー店舗に併設されることが多かった。市内でもたちまち店舗数を増やし、JR六甲道駅前店(灘区)、エバグリーン店(中央区)、学園都市店(西区)などに展開した。低価格のセットや飲み放題のコーヒーなど独自性に富んだメニューは、学生や若者のみならず主婦層の心もつかんだ。

 しかし、ダイエーの経営悪化もあって店舗は減少の一途をたどる。90年代には全国に400店以上あったというが、現在は全国に約50店まで落ち込んだ。昨年夏には、神奈川県厚木市のホテル事業会社に売却され、ダイエー傘下を離れた。

 市内で唯一存続するのは、兵庫区の湊川商店街沿いの「ドムドムハンバーガー湊川店」。ダイエー湊川店に併設され、主婦や親子連れでにぎわう。「初めて食べたハンバーガーはドムドムでした」と言うのは40代の女性。5歳の息子、80代の母と訪れた。「この辺りはマクドナルドもなかったし、ハンバーガーといえばドムドムだった」と話す。

 兵庫県内でも、宝塚中山店(宝塚市)と合わせて2店舗のみという現状。しかし、熱狂的ファンもいる。関西を中心に活動する非公式ファンクラブ「ドムドム連合協会(ドム連)」がその最たる存在だ。

 各地のドムドム店舗を紹介する専門誌「DOMain(ドメイン)」を発行。お気に入り店舗の訪問イベントや、ドムドムの全国地図づくりなどを行ってきた。情熱にあふれた活動は会員制交流サイト(SNS)などで話題になっている。

 ドム連の副会長を務める通称「けんちん」さん(37)=大阪市=は一昨年、1年間で、当時全国にあった全69店を巡った。カレーやコロッケが売られていたり、ビールで乾杯できたり。「かき氷のクオリティーだけが明らかに高い店など、チェーン店なのになぜか店ごとに味わいがあった」と振り返る。昨年まで東灘区にあった甲南店は「元気な接客で、珍しくクレープもあった」といい、ドムドムは「どこか懐かしい気持ちになるのが魅力」と話す。

 最近は縮小するばかりだったが、昨年秋には反転攻勢のニュースも。運営会社が、東京など首都圏のほか大阪や神戸など関西方面でも店舗を増やすと発表したのだ。「新しく出た『厚焼きたまごバーガー』とか、ドムドムらしいなぁ」と喜ぶけんちんさん。再出発を切ったドムドムは、再び「神戸っ子のおなじみ」に返り咲けるか。(勝浦美香)

配信2018/1/5 05:30
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