国民の祝日に関する法律によると、「成人の日」は大人になったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝い、励ます日だとされている。では、大人と子どもの境界線をどこに引くべきだろうか。

【徴兵制度とも関連】
 例えばアメリカでは、1971年に連邦や各州における選挙権年齢がそれまでの21歳から18歳に引き下げられたことに伴い、民法の成人年齢も18歳に引き下げられた。

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【わが国で選挙権年齢が引き下げられた経緯】
 こうした諸外国の歴史的な背景と比べると、わが国の場合、今ひとつ盛り上がりに欠ける感は否めない。

 昨年10月の衆院選における投票率も、18〜19歳は約40%にとどまり、有権者全体に比べて約13ポイントほど低かった。

 しかも、国政選挙で初めて彼らの投票が認められた一昨年の参院選よりも下落している。

 選挙権年齢の引き下げ自体、成人としての自覚や責任の発露とは無関係の政治的妥協の産物にほかならず、当事者である18〜19歳を置き去りにしたままで進められたものだったからだ。

 すなわち、2007年に国会で憲法改正に向けた国民投票の参加年齢を定めようとした際、自民・公明党が当初提出していた与党案では、当時の公職選挙法や民法、少年法などと食い違いが出ないように、20歳以上とされていた。

 その後の修正で18歳に引き下げられたが、これも、民主党案が18歳以上だったことから、憲法改正に向けた手続法の制定を最優先にすべく、民主党案の一部を飲み込んだからだった。

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【民法の成人年齢引下げ】
 こうした経過を経て、1月22日から始まる通常国会では、いよいよ民法の成人年齢を20歳から18歳に引き下げるといった政府法案が提出される見込みだ。

 婚姻可能年齢も男女18歳にそろえ、親の同意を不要とする。
この法案が可決成立すれば、約120年ぶりの大改正となる。
ただ、様々な問題が生じるのも確かだ。

 18歳から親の同意なく自らの意思だけでローンを組み、クレジットカードを作り、携帯電話の契約を行い、養親として養子縁組をすることが可能となる一方、そうした契約を簡単に取り消すことができなくなる。

 そのために、マルチ商法などの悪徳業者に狙われたり、カード地獄に陥ったり、振り込め詐欺用の預金口座や携帯電話を取得させられたり、偽装縁組の片棒を担がされるといった危険性も懸念される。

 わが国の高校進学率は約98%、その後の大学・短大進学率は約55%、専門学校進学率は約17%と比較的高く、18〜19歳の者の多くがなお学生であることからすると、その財産を保護する必要性は高い。

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【酒、タバコ、ギャンブルは変わらず】
 他方、酒類やタバコに関する法律は、民法の成人規定と連動せず、初めから20歳未満の者による飲酒や喫煙を禁止している。

 そのため、民法改正による影響は受けない。
税収の拡大を目指すなどといった観点から、これも18歳に引き下げるべきではないかといった議論もあったが、見送られた。

 心身の健康に悪影響を与えることは明らかだし、将来にわたる医療費抑制の要請も無視し得ないからだ。
アメリカでも多くの州では18歳以上を成人としつつ、飲酒は21歳からとしている。

 イタリアやドイツのように16歳から飲酒可能としている国もあるが、わが国とは体格やアルコール分解能力、飲酒に対する国民意識が全く異なる。

 飲酒を伴う悪質な交通事故が後を絶たない昨今、18歳から飲酒可能となれば、アルコールの影響下における若者の無謀運転により、今以上に深刻な人身事故が多発することだろう。

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【いよいよ少年法改正へ】
 これで、残るは少年法だけ、という状況となる。

 一足飛びに少年法を全廃すべし、という考えもあるが、わが国も1994年に批准している「児童の権利に関する条約」があるため、困難だ。

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【年齢引下げだけでは不十分】
ところが、少子化傾向を考慮しても、統計上、少年犯罪が増加し、凶悪化しているといった事実はない。

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1/8(月) 6:00
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20180108-00080195/