8日、中国・西安の兵馬俑博物館を訪れたフランスのマクロン大統領夫妻(ロイター)
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 【北京=西見由章】フランスのマクロン大統領は8日、陝西省西安に到着し、就任後初となる中国への公式訪問をスタートした。フランス側は中国との経済関係の強化を目指す一方、貿易赤字解消へ一段の市場開放を迫り、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けても主要な役割を果たすよう求める構えだ。中国側は一方、欧州連合(EU)で影響力を増しながら米国と一定の距離を置くフランスに接近し、国際的な発言力の向上を狙う。

 マクロン氏は8日、西安から北京に移動して習近平国家主席と会見。国営新華社通信によると、双方は「重大な国際問題」について密接に協力することで一致した。北朝鮮の核問題などが念頭にあるとみられる。またマクロン氏は中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」について「重要な提案であり積極的に参加したい」と述べた。両氏は9日に正式な首脳会談を開く。

 マクロン氏は8日、古都西安の世界文化遺産「兵馬俑」やシルクロードの一部として同遺産に登録された仏塔「大雁塔」を見学し、「一帯一路」を推進する中国側を喜ばせた。さらに同氏は、フランス共和国親衛隊から8歳の軍馬を選んで空輸し、習氏に贈るサプライズを計画。中国外務省の陸慷報道官は8日の記者会見で、「フランス側の友好的な行為に感謝と称賛の意を表す」と述べた。

 英国がEUからの離脱を決定し、ドイツのメルケル首相が政権維持に苦心する中、欧州で存在感を強めるフランスとの関係を中国は重視している。中国人民大学の王義●(=木へんに危)教授は、同国が「中国がEUで外交空間を広げる助けになる」と環球時報(英語版)に語った。

 ただ両国間には貿易不均衡などの問題も横たわる。ロイター通信によると、マクロン氏は講演で古代のシルクロードについて「一方通行ではない」とも強調した。フランス側は対中貿易赤字に強い不満を抱いており、市場の開放を求めてクギを刺したとみられる。

 マクロン氏にはフランス電力など約50社の経営幹部が同行しており、両国は10億ユーロ(約1350億円)規模の投資ファンドを創設する計画だ。エアバスは「100機以上のジェット旅客機の売却に向けて交渉している」(ロイター)という。

産経ニュース 2018.1.8 23:06
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