http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20180110/CK2018011002000020.html

 大津市園城寺の円満院が運営する「大津絵美術館」に展示されている大津絵の一部を専門家が鑑定したところ、一点当たり数百円〜八千円だったことが分かった。観覧者や地元住民からは「大津絵を冠した美術館なら、価値のある作品を並べるべきだ」と疑問の声がでている。

 鑑定されたのは、大津地裁が昨年十一月に差し押さえた二十六点。内訳は模写が五点で四千円〜八千円、版画が二十一点すべてで二万円だった。差し押さえは、地裁が僧侶二人に仮払いなどをするよう寺院に命じた決定に対し、寺院側が従わなかったため実施され、十一日に売却先を決める。

 大津絵師の五代目高橋松山(しょうざん)さん(47)によると、江戸時代に描かれた原画では二百万円を超える作品もあるものの、「古美術として価値が高いのは、明治時代まで。それより新しいと価値が付きにくい」と話す。鑑定額が低かったのは、いずれも大正時代以降の作品だったためとみられる。

 寺院関係者によると、二十年ほど前に寺院が多額の負債を抱えた際、価値の高い大津絵は売却されてしまったという。観覧していた大阪市の四十代男性は「大津絵は民画だからピンからキリまであるだろうが、低い価値の展示は違和感がある」と語った。

 入場料は、国重要文化財の宸殿(しんでん)などの見学も含め、大学生以上五百円、高校生三百円、小中学生以下無料。円満院の担当者は「美術館は外国人も来て人気の施設。美術館は宸殿に付随した施設のため価格設定に問題はない」と説明した。

http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20180110/images/PK2018010902100253_size0.jpg