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大分市は10日、大分、愛媛両県をつなぐ豊予海峡ルートについて、海底トンネルで新幹線を整備する構想の実現可能性を探る2次調査の結果を公表した。大分―松山間を最短36分で結び、1日に往復32本の運行が可能とした上で、採算性を確保できると結論付けた。同ルートは四国新幹線(基本計画路線)の西端に当たる。今後は県が推進する東九州新幹線と併せ、事業化の前提となる整備計画路線への格上げを国に要望していく方針だ。

 市は2016年12月に公表した1次調査で、架橋、海底トンネルなどの手法を比較。海底トンネルでの整備の方が事業費を抑えられ、既存の技術で建設できるとした。今回は、事業費が最も低いと試算した単線の新幹線を通す案に絞り▽ルート・中間駅▽運行ダイヤのモデル▽営業損益―などを改めて分析した。
 2次調査の結果によると、JR大分―松山駅間(146キロ)について、中間駅を(1)大分市佐賀関付近(2)愛媛県伊方町付近(3)同大洲市か八幡浜市付近―に置くと仮定。車両のすれ違い時間を含めて下り(松山→大分)を優先した場合、直行の所要時間は下りが36分、上り(大分→松山)は42分と算出した。各駅停車は下りが59分、上りは52分だった。
 今回のルート検討を踏まえ、建設事業費を1次調査時から60億円増の6860億円と試算した。費用便益は1・19〜3・30と推測。1を超え、整備費用を上回る効果が見込めるとした。
 他の地方新幹線を参考に運行経費などを計算したところ、年間の営業費用は141億円。黒字化には1日当たり約6800人の利用が必要だが、1次調査では1日の利用者数を約1万8千人と見込んでおり、「初年度からの黒字が想定される」との結論を示した。
 佐藤樹一郎市長は同日の会見で「高速鉄道の整備は地域の中長期的な発展に重要だ」と強調。全国で整備新幹線の建設が進む中、基本計画路線がある関係自治体では格上げに向けた動きが活発化しており、「新幹線整備を目指す他地域の取り組みを見ても、今から準備が必要」と機運醸成に強い意欲を示した。

配信2018/01/11 03:01
大分合同新聞
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