大林組本社ビル(中央)=東京都港区で2017年12月、本社ヘリから宮本明登撮影
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 リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、ゼネコン大手4社のうち大林組(東京都港区)、鹿島(同)、大成建設(新宿区)の3社の幹部が2014年後半〜15年初頭に都内の飲食店で複数回、会合を開いて受注を希望する工事について情報交換していたことが、関係者への取材で明らかになった。東京地検特捜部と公正取引委員会はこの時期に工区の受注調整が進んだとみて、10日改めて幹部から事情を聴いた模様だ。

 リニア中央新幹線の東京・品川−名古屋間の工事実施計画は14年10月、国が認可しており、会合が持たれた14年後半〜15年初頭はJR東海(名古屋市)が工事の発注業務を開始する時期に当たる。ゼネコン各社は工事内容や見積もり方法についてJR側と打ち合わせる必要があり、各社の営業担当がJR東海の東京本社を頻繁に訪問していたという。

 関係者によると、大林組、鹿島、大成建設の3社の営業担当はJR側と打ち合わせた後に飲食店に移動し、発注が予定されていた品川、名古屋両駅の工事を中心に情報交換を重ねていた。特捜部は3社の一部社員が当時作成したメモ類を入手している模様で、メモ類には会合の出席者の名字や人数が記載されていたという。

 大成建設からは主に、当時の土木営業担当の常務執行役員が出席し、大林組と鹿島は営業担当の部長が主に参加したという。元常務執行役員と鹿島の部長は会合などで一定の情報交換をしたことは認めているが、「どの会社がどの工事を取るといった取り決めまではしていない」などと談合を否定しているという。

 一方、談合を認めたとされる大林組の関係者は「3社が集まった会合では工事の技法などについて話し合ったが、受注調整はその後に個別で行った」と説明しているという。

 リニア工事談合事件では、3社が先行して受注調整し、最後に清水建設(中央区)が加わったという構図が指摘されている。飲食店での3社の「情報交換」が基礎となり、清水建設に調整の対象が広がった可能性がある。【平塚雄太、二村祐士朗、巽賢司】

毎日新聞 2018年1月11日 09時00分(最終更新 1月11日 10時45分)
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