法務省は12日、難民申請から6カ月後に一律で日本での就労を認める運用をやめると発表した。明らかに難民に該当しない申請者の在留や就労を制限する。就労を望む外国人が不法滞在を回避して働く抜け穴として悪用されるのを防ぐ。就労を目的とする申請が増え、審査期間が長引くなどの問題が生じていた。

 15日以降の申請に適用する。「短期滞在」や「技能実習」などの在留資格を持つ外国人を、難民申請から2カ月以内に4分類する。申請書類をもとに(1)難民の可能性が高い(2)明らかに難民に該当しない(3)同じような理由での再申請(4)その他――に分け、(2)や(3)には新たな在留資格を付与せず、就労を認めない。在留期限が来れば、強制退去の手続きを進める。

 より良い賃金を求め、技能実習先や留学先からいなくなって難民申請する場合は、就労を認めない。一方で(1)には速やかに就労可能な在留資格を与える。法務省は現在の申請の約6割は、新たな運用方針に切り替えることで在留や就労に制限がかかるとみている。

 2017年1〜9月の申請数は1万4043人と、前年同期比で約1.8倍だった。人種や宗教などで迫害を受けて難民になる恐れが乏しい国からの申請者が大半だ。国籍別ではフィリピン(3177人)やベトナム(2329人)が多い。

 審査期間は17年1〜9月で平均9.9カ月。不認定になっても不服申し立てや再申請ができる。不認定になっても理由を変えて再申請を繰り返し、日本で働き続けることができた。申請6カ月後から一律で就労を認める運用は10年に始めた。審査結果が出るまでの生活に配慮する目的だったが、申請数の増加が続いていた。

2018/1/12 10:40
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25597990S8A110C1MM0000/