この第1回口頭弁論で仙台高裁の小川浩裁判長は求釈明を出し、遺族側には「平常時のリスクマネジメント
について、文部科学省が具体的にどのように考えていたかを示すように」、市・県に対しては「市教委が震
災前に各学校へ通達していたという危機管理マニュアルの作成について、いつどのように指示を出し、各校
のマニュアルをどのようにチェック・管理してきたか、その具体的な事実経過を示すように」と、双方に
今後の回答を求めた。また、非公開の進行協議では「学校長・教頭をはじめとした公立学校の幹部らが、
職務上の観点からどのような権限を持ち、どのような義務違反があったのかを検討する必要がある」と、裁
判官から今後の争点が示されたという。

「学校保健安全法」の第29条(記事末尾に条文を紹介)は、危機管理マニュアルの作成や訓練の実施を
定めているが、遺族側はこの点から「事前の安全対策の不備」についての責任を追及していたものの、仙台
地裁は退けていた。控訴審では、その点が重要な論点として位置づけられたとみられ、市教委や学校の事前
の対応が適切だったかも判断される可能性が出てきた。

原告団代理人の吉岡和弘弁護士は、「我々は一審から、事前の安全対策の不備について訴え続けてきた。
一人一人の教師に津波の予見可能性があったのか、あるいは当日の避難行動がどうだったのかだけでなく、
平時の学校の危機管理についても裁判所が問おうとしているのだろう。これから、被告側が裁判所からの釈
明にどう応えるのか注視したい」と、前向きに評価している。
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