ジャパンライフ本社にある看板
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マルチ商法がSNSを介して若者の間に拡大している。

磁気健康器具などを媒介にマルチ商法を展開する「ジャパンライフ」が事実上倒産し、負債総額2405億円の回収はほぼ困難になった。被害者の75%が70代以上の高齢者で、1人当たりの平均被害額は1860万円ほど。磁気ネックレスなどを100万〜600万円で購入させ、その商品を他の客にレンタルして購入価格の年率6〜8%を配当するとうたって勧誘する古典的なマルチだ。

同社には、消費者庁が昨年12月に「連鎖販売業に係る連鎖販売取引」などで12カ月の業務停止命令を下している。ジャパンライフはこれも含め、16年12月から17年12月までに計4回の業務停止命令を受けた札付きのワル。本紙は、何度も同社とマスコミや政治家との癒着を報じたが、消費者庁の課長補佐が同社に天下りしていたのだから問題の根は深い。

「無料でマッサージをするなどと客を呼び出し、“必ず儲かる”と言ってお年寄りたちに高額商品を買わせていました」(捜査関係者)

マルチ商法とは連鎖販売取引のことで、ネットワークビジネスと呼ばれることもある。「アムウェイ」「ニュースキン」が代表格で、ミキプルーンの「三基商事」も該当する。半マルチとされるのが、化粧品の「エイボン」とキッチン用品の「タッパーウェア」だ。

「ミキプルーンは最盛期には会員数50万人、2000年の年商は939億円あったが、14年には500億円台にまで減少。桂三枝(現・文枝)司会の『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)のスポンサーも降板しました。会員の平均年齢が65歳を超すなど年々、商売は先細りになっています」(「マルチのカリスマ」の著者でジャーナリストの樋口昂央氏)

高齢化で先細りのマルチ業界は次のターゲットを探している。それが、マルチをよく知らなくて、SNSの扱いに慣れている若い世代だ。

国民生活センターによると、LINEなどに「お友達になりませんか?」「副業でラクに高収入を得られる」などと見知らぬ人から連絡があり、実際に会ってみると、マルチ商法をすすめられるという。昔のマルチは会員になった人が学校の同級生などから新たな買い手を探し、子会員を増やすことでマージンを得ていたもの。最終的には被害者が加害者にもなり、ある種の後ろめたさが伴ったものだが、SNSで見知らぬ人を勧誘する分には罪悪感は薄い。

消費者庁に業務停止命令を受けた業者は、昨年だけでジャパンライフ以外にフォーデイズ、48ホールディングスがあり、一昨年もIPSコスメティックス、ナチュラリープラスが命令を受けた。だが、どの会社も今も若者などを相手に堂々と商売を続けている。

最近のSNSで勧誘するマルチの商品事例としては、USBメモリー、オンラインゲームのアプリ、オンラインカジノアフィリエイト(商品宣伝)などがある。

悪徳業者も時代に合わせてテクニックを変えているのだ。

2018年1月15日
日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/221221/1