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2018年01月21日
小林 拓矢 : フリーライター

人口が増え続ける江東区。都心回帰の流れが高まる中、1995年には39万5000人だった人口が、2017年には51万人に近づこうとしている。鉄道の混雑は深刻化し、南北の移動を担うバスも混雑している。

そんな中、江東区は地下鉄「東京8号線」の延伸に力を入れている。東京8号線とは地下鉄有楽町線のことで、同区が目指しているのは豊洲から分岐し、半蔵門線・都営新宿線が乗り入れる住吉までの延伸だ。

東京8号線の延伸は、1972年に都市交通審議会で亀有への分岐が初めて答申され、1982年には営団地下鉄により豊洲―亀有間の免許が申請されている。1985年には豊洲―亀有間を2000年までに整備することが適当と運輸政策審議会が答申した。2000年には豊洲―野田市間を2015年までに整備するという運輸政策審議会の答申もあった。

江東区はやる気だ

だが、この路線はいまだに造られていない。豊洲駅と住吉駅には、この路線を導入することを想定した場所が確保されているものの、それ以外の箇所の建設は着手されていない。それどころか、2004年に営団地下鉄が東京メトロへと民営化された際、同社は副都心線を最後に新線の整備を行わない方針を立てた。

しかし、江東区はあきらめなかった。人口が増加しつつあった2010年度、豊洲―住吉間の延伸に関する検討会を開始した。2012年度には同区間の事業化検討委員会、2013年度には延伸に関する懇談会を設置した。

東京都は2015年7月に公表した「広域交通ネットワーク計画について」の中で、この区間を「整備について優先的に検討すべき路線」であるとし、翌2016年4月に交通政策審議会が取りまとめた東京圏の鉄道整備についての答申では「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」に指定された。
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