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管理職になりたいと思いますか(すでに管理職の人は思っていましたか)?
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 人事制度を見直し、活躍を促す企業もある。明治安田生命保険は総合職と一般職の職制区分の見直しを15年から段階的に進め、17年4月に一般職を廃止。全国型と地域型の総合職に再編した。
 旧一般職には、ずっと同じ支社や営業所で働いてきた女性が多く、再編後のキャリアへの不安が大きかった。
広い視野を得るとともに、様々な選択肢があると認識してもらうため、管理職一歩手前の女性を対象に「キャリア・チャレンジ制度」を導入。希望者は、他の職場での仕事を数日間経験できるようにした。
 17年は145人が他部署での業務を経験。ほかにも階層別研修やメンタリングなど、それぞれのキャリアに応じた成長の機会を提供する。
「様々な施策が風土を醸成し、キャリアアップしたいという女性が増えてきた」(ダイバーシティ推進室)と、手応えを得る。

 「多様性を生かす力は組織にすぐに備わるものではなく、トライ&エラーを重ねる中でついていく」と谷口教授。「企業も女性も、小さな成功体験を積み重ねることが大切だ」と話す。
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■「ロールモデルいない」81%

 働く女性がロールモデルとして憧れる著名人を2000人調査で自由回答で聞いたところ、多く挙がったのは俳優の天海祐希さん(2%)や東京都知事の小池百合子さん(1%)ら。ただ、全体の81%を占めたのが「いない」だった。
 東京商工リサーチによると、2017年3月期決算の上場企業2430社で、女性役員は総数の3%。ゼロの企業は69%あった。
男女雇用機会均等法の施行から約30年たったが、役員や上級管理職として活躍する第一世代の女性は数自体が少なく、私生活を犠牲にしてきたケースも多い。
 働き方や価値観が多様化する中、すべてを手本としたいような存在を見つけるのは困難だ。複数の人からいいと思うところを少しずつ取り入れ、自らロールモデルをつくることを求められているのが現在の女性たちだ。

 海外をみると「フォーチュン500」に入る米トップ企業で女性最高経営責任者(CEO)は6%にとどまるが、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラさん、IBMのバージニア・ロメッティさんら著名経営者が浮かぶ。
また、フェイスブック最高執行責任者(COO)のシェリル・サンドバーグさんは夫の不慮の死に遭いながらシングルマザーとして2人の子どもを育てていることで知られる。

【調査概要】正社員・正職員(役員含む)として働く20〜50代の女性を対象に2017年12月、調査会社マイボイスコム(東京・千代田)を通じてインターネット上で実施。各年代500人ずつ、計2000人から回答を得た。
[日本経済新聞朝刊2018年1月22日付]