研究不正大国ニッポン 山中伸弥先生の京大iPS細胞研究所でも「論文の見栄えを良くしたかった」

京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長(写真:つのだよしお/アフロ)
http://rpr.c.yimg.jp/im_siggy91de27Fz29h7gCu6xZv7A---x800-n1/amd/20180123-00080793-roupeiro-000-7-view.jpg
ヤフー取材 木村正人 | 在英国際ジャーナリスト 1/23(火) 20:54
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20180123-00080793/


●企業でも、大学でも相次ぐ不正

[ロンドン発]世界最先端の研究を進める京大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)でも信じたくない、いや信じられないようなお粗末な研究不正が起きてしまいました。iPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞に輝き、余人をもっては代えがたい山中所長の辞任はあるのでしょうか。

東芝の不正会計、神戸製鋼所や三菱マテリアル子会社の品質データ改ざん、東レ子会社の製品データ改ざん、日産自動車の車両完成検査不正と日本に対する信頼が大きく揺らいでいます。理化学研究所の研究員だった小保方晴子さんによるSTAP細胞事件をきっかけに日本には「研究不正大国」のレッテルがはられています。

理研、東大に続いて、京大iPS細胞研究所でも研究不正とは、日本の研究者倫理も地に落ちたものです。山中所長や京大の発表資料によると、不正が見つかった論文はiPS細胞研究所の助教が筆頭著者となり、昨年2月に米科学誌ステム・セル・リポーツに発表されました。iPS細胞から脳の血管内皮細胞を作り出すことに成功したという内容でした。

論文の信憑性(しんぴょうせい)に疑義があるとの情報が寄せられたため、実験の測定値をもとに再構成したところ論文通りのグラフを再現できませんでした。捏造や改ざんが論文の根幹部分で行われていたとして論文を撤回する方針です。

●生命科学は「ゴムひもで長さを測る世界」?

2013年、世界的に権威のあるネイチャー誌に3研究機関が生命科学の注目論文を追試したところ、50〜89%の実験結果は再現できなかったという衝撃的なニュースが掲載されました。生命科学は動物・ヒトや細胞を実験材料にするため、「(伸び縮みする)ゴムひもで長さを測る世界」(成戸昌信・東レ経営研究所特別研究員)と言う人もいます。
http://www.tbr.co.jp/pdf/sensor/sen_188_02.pdf

実験結果にばらつきが出るということです。それにしても論文の主要な6つのグラフすべてと、6つの補足図のうち5つを実験の測定値から再現したところ、論文のグラフとは著しく異なる結果が出たというのには驚きました。

共著者が10人もいて全く気付かなかったのでしょうか。助教という主導的立場の人が不正を働いていたため、チェックできなかったのでしょうか。

山中所長と京大は「測定結果の解析や図の作成は全て助教が担当し共著者は関与していない」「いずれの共著者にも助教による数値への操作を予見することは困難」として共著者の関与はなかったと判断しています。研究不正を認めた助教は「論文の見栄えをよくしたかった」と話しているそうです。

iPS 細胞研究所では(1)知財グループによる実験ノートの定期チェック(2)論文データ提出のルール化(3)相談室設置といった対策を導入していました。

今回の研究不正を受け(1)実験ノート提出率を100%にして、知財グループに加えて主任研究者が複層的に確認(2)論文データの形式を指定し、図表の信憑性を裏付けるデータを提出させる(3)実験ノートの書き方やデータ保管方法について全研究者に指導するそうです。

つづく>>2-5

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