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喫煙大国からの脱却を狙う

 中国の北京市政府は2015年6月から職場など屋内での喫煙を全面的に禁止する世界的にも厳しい禁煙条例を施行したが、2017年末までの2年半で喫煙人口を20万人減少させることに成功したことが分かった。

 さらに、同市は条例に違反して喫煙をした人を見つけ出して当局に“密告”するボランティア制度も導入、10万人の監視員を任命しており、昨年1年間で摘発された企業は653社、個人は3292人で罰金総額200万元(3500万円)を徴収したという。北京紙「新京報」が報じた。

 禁煙条例の正式名は「北京市喫煙管理条例」で、空港や駅など公共の場所やオフィスビル、飲食店など「屋根のある場所」での喫煙を禁止。屋外でも指定場所以外の喫煙は認めないというもの。これは世界的にも「最も厳しい禁煙条例のひとつ」といわれる。

 条例が施行された2015年当時、北京市は2022年の冬季五輪の開催地に立候補しており、条例によって「喫煙大国」中国の首都のイメージを改善する狙いもあった。

 すでに北京は2022年冬季五輪招致に成功しているが、中国は世界最大のたばこの生産・消費国で、現在でも中国全体では成人の3割近くにあたる約3億人が喫煙しており、受動喫煙者も7億人を超え、毎年100万人あまりが喫煙関連の疾病で死亡している。

 北京市衛生計画生育委員会によると、この2年半で北京だけで20万人の喫煙人口が減ったとはいえ、それでも人口2150万人中約400万人の喫煙者を抱えており、市の人口に占める喫煙者の割合は22.3%と、条例導入前と比較してわずか1.1ポイントしか低下していない。

 条例では、公共の場はすべて禁煙の対象になっており、喫煙者が多いのが中小の食堂やレストランで、その次がマージャン店やゲームセンターなどの娯楽施設と指摘されている。盲点はオフィスで、喫煙者が多い職場では禁煙が徹底されにくいようだ。

 さらに、北京に流入している地方からの出稼ぎ労働者ら外来人口の喫煙率が高く、北京市民ではないだけに、禁煙条例の存在すら知らない者も多数いるという。

 習近平指導部も中国の国際的なステータスの向上に力を入れており、喫煙人口の減少を目指している。北京市の禁煙条例もその一環で、北京ばかりでなく、上海や天津、重慶市など大都市も禁煙条例を制定している。

 また、中国の場合、平均でタバコ1箱150円と世界基準でも安いことから、中国政府は年内にもタバコの値上げを検討していると中国メディアは報じている。

NEWSポストセブン:https://news.nifty.com/article/world/worldall/12180-645801/