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1月29日 17時27分
ヒトに移植するための臓器を将来的に動物の体内で作り出す研究などを進めるため、文部科学省の委員会は、ヒトの細胞を混ぜた動物の受精卵を動物の子宮に戻すことを認める報告書の案を大筋で了承しました。アメリカなどでは、移植手術に使われる臓器をブタの体内で作り出す研究が進んでいて、文部科学省は今後、国内での研究を解禁することにしています。

動物の受精卵にヒトの細胞を混ぜた「動物性集合胚」の研究は、移植手術に使われるすい臓や腎臓などの臓器が不足していることから、ブタなどの動物の体内で作り出すことを目指して、アメリカなどで積極的に行われていますが、国内ではこれまで、動物の子宮に戻すことは国の指針で禁止されてきました。

文部科学省で29日開かれた専門家の委員会で、「動物性集合胚」の研究をどこまで認めるか検討を行い、報告書の案を大筋で了承しました。

この中では、これまでの方針を転換して、「動物性集合胚」を動物の子宮に戻し、ヒトの細胞を持った動物の誕生を認めることを盛り込んでいます。一方で、動物の体内でヒトの脳を作る研究については、ヒトなのか動物なのか区別できない生物が生まれる危険性がないか、海外での研究の事例を確認して行うべきだとしています。

また、生まれてきた動物の生殖細胞については、ヒトの精子や卵子が混ざっている可能性があることから、当面、受精させることを禁じています。文部科学省は今後、広く一般の意見を求めたうえで指針を改定し、国内での研究を解禁することにしています。

委員会の主査で、国立精神・神経医療研究センターの高坂新一名誉所長は「意義のある研究なので、解禁する方向で認められた。ヒトと動物の区別がつかない動物ができないよう、国の委員会としても指針に基づいてチェックを行っていきたい」と話しています。