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2018年01月30日
福井新聞

兵庫県立伊丹高で生徒指導部長だった小南誠教諭(58)は、聞いた瞬間、体が震えた。「西尾健司君が亡くなりました」。2002年3月23日早朝の連絡だった。

「なんでや。なんでや」。自問を繰り返した。

前日、学校のトイレで喫煙したため、小南教諭と校長、教頭、学年主任、担任の青木俊也教諭(54)の5人で特別指導を行っていた。前年12月に続く指導だっただけに口調はより強くなったが、内規に沿った指導であり、他の生徒のケースと同様に対応したつもりだった。

青木教諭も、母親の傍らで落ち込み、涙する健司さんの姿を見ても「命を絶つほど思い詰めているとは想像できなかった」。

一方通行になりがちな指導

淡々とした学校側の対応に遺族は不信感を募らせた。線香を上げた後、校長は「特別きつくしかったわけではなく、今までと変わりなく注意したまでで…」と説明した。

しかし、小南教諭には母裕美さん(59)の訴えはもっともだと思えた。「無期謹慎を申し渡された子どもがどんな気持ちでいたか分かりますか」「責めるだけの厳罰ではなく、思いやりのある指導であってほしい」。一方通行になりがちな指導だったことに気付いた。

退学のようなイメージを与えかねない「無期」という言い方を「当分の間」に変え、数時間に及ぶこともあった、問題ある行動を起こした生徒への事実確認は1時間までとした。教師が感情的にならないように複数で対応することも決めた。「厳しい指導こそが生徒を鍛える」と考える同僚も多く反対意見もあったが、1年がかりで内規を改めた。
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