(CNN) 欧州や北米が他を圧倒している競馬産業にあって、日本が大国として頭角を現している。

伝統的には、米国やフランス、アイルランドといった国々が世界で最も優秀な競走馬を育てるものと相場が決まっている。

しかし過去10年、日本はこうした傾向を覆してきた。日本中央競馬会(JRA)によると、2016年には多数の競走馬を輩出したほか、レースにも600万人以上の観衆が集まった。


馬券の売り上げも好調だ。日本では15年、推定225億ドル(現在のレートで約2兆5000億円)が馬券購入に投じられた。

調教師の中内田充正氏はCNNの取材に、「競馬産業はどんどん拡大している」と指摘。「日本には世界中から多くの種牡馬や牝馬を購入している強力な馬主がいる」と話す。

中内田氏はアイルランドや英国、米カリフォルニア州で仕事を学んでから日本に帰国した。日本競馬界のこうした成功については、世界最優秀クラスの競争馬を輸入したことによるところが大きいとの見方を示す。 

特に重要だったのがサンデーサイレンスだ。「サンデーサイレンスが過去15〜20年の状況を変えたと思う。以前ほど多くの種牡馬を輸入する必要がなくなっている」という。

米国馬のサンデーサイレンスは1989年、ケンタッキーダービーやプリークネスステークスなどを制覇。日本に種牡馬として導入されたことにより、将来世代への波及効果が生じた。その最たる例がディープインパクトで、同馬は2005年に日本で11年ぶりの3冠馬に輝いている。

中内田氏は「欧米の有力関係者が非常に優れた牝馬、折り紙付きの牝馬をディープインパクトのもとに送ってきており、こうした牝馬が優れた子どもを産んでいる」と説明。「ディープインパクトは現在、他のどの種牡馬よりも有名なのではないか」と語る。

だが、日本競馬成功の背景にはもうひとつの秘密がある。ファンだ。

日本で国民が賭けの対象にできるスポーツは数少なく、競馬はそのひとつ。16年には初めて海外レースの馬券も購入できるようになった。

馬券購入によって生み出された収益はJRAレースの賞金として再投資される。これもあり、日本は世界でも有数の高額賞金レースを創設することが可能になってきた。ジャパンカップの賞金総額は560万ドルにのぼる。

ただ、こうしたお金は別のところにも投資されている。

中内田氏は「巨額の賭け金が生産者や馬主に還流し、個々の馬により多くの金額を使えるようになっている」と指摘。これが日本における競馬産業成長の最大の要因だとの見方を示した。「われわれは多額の投資を行っているが、戻ってくるものも大きい」

2018.02.03 Sat posted at 11:39 JST
CNN
https://www.cnn.co.jp/m/showbiz/35112403.html