ソフトバンクグループ(SBG)が、スイスの再保険大手「スイス・リー」の株式取得に向けて交渉を始めたことが8日分かった。取得額は100億ドル(1兆1千億円)になる可能性があるという。SBGは業界トップクラスの企業への投資をグローバルで進めている。再保険の世界大手であるスイス・リーに出資することでこの戦略を加速する狙いがあるとみられる。

 スイス・リーは7日、「将来的に少数株主になることについて、ソフトバンクと予備的な協議をしている。ただ議論は極めて初期段階で、合意に至る確証はない」とする声明を出した。SBGは「コメントは控える」としている。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)によると、ソフトバンクがスイス・リーの発行済み株式数の最大3分の1を取得する方向で協議しており、取得額は100億ドル以上になる可能性がある。ここ数週間でスイス・リーの経営陣が日本を訪れ、孫正義会長兼社長ら幹部と面会したという。

 再保険は自然災害など支払いが巨額になりかねない保険について、保険会社から再保険料をもらい、リスクの一部を引き受ける仕組みだ。スイス・リーはグローバルに展開する世界最大級の再保険会社で、同紙によると、17年6月末時点の資産は2240億ドル。

 SBGは17年にサウジアラビアなどと運用額10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を立ち上げ、世界の有力企業に投資している。16年には英半導体設計のアーム・ホールディングスを3兆3千億円で買収している。

2018/2/8 10:19
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26667900Y8A200C1MM0000/