安倍晋三首相とペンス米副大統領は7日の会談で、平昌五輪を利用した北朝鮮の微笑外交に対し、
日米が「目を奪われてはならない」とのメッセージを発信した。両氏の訪韓前に設定された今回の会談は、
日米が北朝鮮や韓国に対し常に「ともに」行動する同盟関係の強固さを改めてアピールする場ともなり、首相が繰り返し強調する
「最大限の対北圧力」を演出した。

 会談は少人数会合と全体会合をあわせ約2時間に及んだ。首相の「格下」となる副大統領相手では異例の長さで、
北朝鮮を主な議題としてじっくり議論した。

 「首相−副大統領」の共同記者発表もまた異例で、首相は「日米の北朝鮮政策を完全にすりあわせることができた」と満足そうに語った。
首相との会談で「北朝鮮の挑発にも終止符を打つ。そういう脅威がなくなるまで、ともにいることを強調したい」と語ったペンス氏は、
言葉だけでなく実際の行動で呼応した。

 ペンス氏は会談前、東京・市谷の防衛省にある航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊を視察した。
同部隊は24時間態勢で北朝鮮の弾道ミサイル警戒に当たる。PAC3発射機の動作を間近で視察したペンス氏は、
同行した小野寺五典防衛相との意見交換で「日米はともにあるということが、これからも一貫したスタンスだ」と語ったという。

今回の会談は、北朝鮮との対話に前向きな韓国の文在寅政権にくぎを刺す狙いもある。
文政権は五輪成功のためとして、北朝鮮の芸術団「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」員らを乗せた貨客船「万景峰92」を独自制裁の例外措置とするなど、
制裁の骨抜きを図る傾向がある。

 首相は共同記者発表で「日韓首脳会談を行い、日米で確認した方針を文大統領との間でも確認し、
対北政策における日米韓の強固な協力関係は揺るぎないということを示したい」と語った。慰安婦問題をめぐる日韓合意で、
文政権は日本にさらなる措置を求めている。日米韓の連携に水を差しかねないことへの牽制の意味もありそうだ。

http://www.sankei.com/world/news/180208/wor1802080004-n2.html
http://www.sankei.com/world/news/180208/wor1802080004-n1.html

安倍首相「力強い日米同盟の絆のもと、さまざまな課題に対応していきたい」

 ペンス米副大統領「日本、韓国、地域の同盟国と協力して、北朝鮮の非核化を実現し、挑発行為を終わらせるという国際的な目的を達成するまで努力したい」

 両氏「平昌五輪成功に向けた南北対話を歓迎する。核武装した北朝鮮は、決して受け入れられない。関係国に対し、北朝鮮の微笑外交に目を奪われてはならないと訴える。
北朝鮮の政策を変えさせるため、日米、日米韓で連携して、あらゆる方法で圧力を最大限まで高めていくことが必要だ。米韓軍事演習は重要だ」

 ペンス氏「すべての選択肢がテーブルの上にある」

 首相「支持する」

 ペンス氏「最大かつ最も強力な内容の米国の独自制裁措置を近々発表する。日本政府による、洋上での船舶間の物資の取引『瀬取り』への取り組みを称賛する」

 両氏「中国のさらなる役割に期待する」

http://www.sankei.com/politics/news/180207/plt1802070037-n1.html