https://www.jiji.com/jc/article?k=2018020800975&;g=pol

 政府が、盗聴やハッキングが不可能とされる「量子暗号通信」の実用化に向けた研究に乗り出すことが8日、分かった。政府関係者が明らかにした。来年度から5年間かけて実証実験を行い、早期の実用化を目指す。在外公館や遠隔地の艦船との情報伝達など外交・安全保障分野での利用が期待される。

 量子暗号通信は、光の最小単位の粒(光子)に情報を搭載して送信するデータ通信技術。光子を観測しようとすると、状態が変化してしまう性質を利用して、盗聴などを防止する。現行の数列による暗号がコンピューターの演算処理能力の向上に伴って解読される危険性が増すのに対し、量子暗号は「究極の暗号」とも呼ばれる。

 具体的には、人工衛星から「鍵」の情報を載せた光子を情報の送り手と受け手に送信。送り手は鍵を使ってデータを暗号化して送り、受け手は鍵を使ってデータを解読する。盗聴者が鍵を盗もうとすれば痕跡が残るため、即座に検知できる仕組み。盗聴された鍵は廃棄して、新たな鍵を改めて送ることで情報の漏えいを防ぐ。

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