>>57の続き

もう一つはシェアハウスの物件価格の水増しだ。実際の価格より高値の契約書を銀行に示し、頭金の支払いがあると説明した。同じ8千万円の融資でも、頭金ゼロで8千万円の物件を買うより、頭金2千万円で1億円の物件を買うほうが資金力に余裕があるように見えて、審査が通りやすいとみられる。業者がわざわざ頭金相当のお金を会社員の口座に振り込み、融資実行後に返金させた例もある。
 業者らは「頭金ゼロ」で投資できると会社員らを勧誘。投資額はシェアハウス1棟で1億円超で、預金が少ない人にも融資が実行された。NPO法人が運営する「サブリース問題解決センター」は200人超から相談を受け、書類改ざんなどの不正が数多く確認されている。NPOの大谷昭二理事長は「不正が多いのは融資する側にも問題があるのでは」と指摘する。
 シェアハウスへの融資では、スルガ銀の積極姿勢がめだつ。顧客が多いスマートデイズは1月、スルガ銀で融資を受けた人向けに2度の説明会を行い、計約500人が参加した。昨年から賃料支払いが滞った別の2業者でも、スルガ銀から融資を受けた人が多い。
 スルガ銀は融資審査について「適正に行っており、甘かったという考えはない」と強調。返済猶予などを求める会社員らからの相談が相次いでいるが、「顧客本位の立場を尊重しつつ、しっかり話を伺い真摯(しんし)に対応している」という。(藤田知也、久保智)