インターネットバンキングで、預金が勝手に他人の口座に移される不正送金の被害額が福島県内で高額化している。
2017年は約1億1000万円(7件)で、県警が統計を取り始めた07年以降で最悪となった。利用者の端末をウイルス感染させて、パスワードなどの個人情報を盗み取る手口が多く、県警が注意を呼びかけている。

 県警生活環境課によると、不正送金の被害は07年頃から目立ち始めた。13年に約1000万円(10件)となると、14年は約2500万円(11件)、15年は3610万円(10件)と増加。その後、県警や金融機関による注意喚起などで16年は約720万円(4件)と減少したが、17年には再び増加し、被害額は15倍となった。

 主な手口は金融機関などを装ったメールが利用者の携帯電話やパソコンに届き、添付ファイルでウイルス感染させたり、偽画面に誘導させたりして、IDやパスワードを盗み取る。その後、利用者になりすましてログインし、預金を別の口座に送金する。メールから偽のホームページに誘導し、セキュリティー名目でIDとパスワードを入力させる手口もある。

 県警は、パスワードが一定時間ごとに切り替わる「ワンタイムパスワード」の利用や、身に覚えがない添付ファイルを開かないことを対策に挙げる。パソコンの基本ソフトの更新や、ウイルス対策ソフトの活用も勧めている。

 犯行グループの検挙には至っていない。利用者に送信されたメールの発信元が、海外の複数のサーバーを経由するなどで犯行グループの特定が難しい状況だ。昨年の被害が多額だったこともあり、県警幹部は「万一に備え、振り込み限度額の設定や当日送金の停止の手続きを金融機関で行うことも必要だ」と話している。


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