最新の衣食住施設がそろい都心へのアクセスも向上−。こうした付加価値が評価され、小田急など3線が乗り入れる海老名駅(神奈川県)周辺の大規模再開発に関心が集まっている。3月の小田急のダイヤ改正で都心までのラッシュ時の乗車時間が約10分短縮されるほか、再開発エリアが小田急小田原線・相模鉄道本線とJR相模線の海老名駅の間という好立地や、周辺の商業・文化施設の充実などが追い風となっている。海老名市もファミリー層など新たな層の流入に期待を寄せている。(那須慎一、写真も)

 「1月21日時点で、2462件の問い合わせがあり、来場者の累計は1446件に上るなど、当初予想よりも相当高い反響をいただいている」。小田急電鉄の担当者は、地上31階建て、総戸数304のタワーマンション「リーフィアタワー海老名アクロスコート」への関心の高さに笑顔をのぞかせる。

■マンションも次々と

 しかも近隣からだけにとどまらず、「東京都世田谷区や横浜市などからも来場され、年齢層も20〜60代と幅広い層にご検討いただいている」と言葉を継ぐ。確定はしていないが、2LDKで4千万円台中心、3LDKで5千万円台中心と、決して安い価格設定ではないが、「小田急・相鉄とJRの両駅の間という好立地に加えて、充実した商業施設や環境などを高く評価していただいている」としており、平成31年秋に完成を予定している。

 同マンションの建設後も同エリアでは、同じく300戸規模の2棟目のタワーマンションや、戸数は未定ながら、もう1棟の高層マンションの建設を予定している。まち全体では「小田急線開通100年の節目である39年直前の37年度末に完成を迎える」という。

 小田急は都内の複々線化の工事完了に伴い、3月17日に「創業以来」という大規模なダイヤ改正を実施する。従来、都心部で混雑率が高く、到着遅れの発生も多い状況にあり、必然的に郊外から通勤・通学する場合、長時間、混雑する電車に乗る必要があるなどのデメリットがあった。

 しかし、新ダイヤでは急行や各駅停車が待避駅で待つことなくスムーズに運行できるため、海老名から都心部に通う場合、例えば海老名−新宿間が朝のラッシュのピークを迎えた際の所要時間は、従来の61分から最速で51分となり、10分短縮される。さらに海老名駅にも朝の時間帯に特急ロマンスカーが停車し、特急料金はかかるが、座って通勤することも可能となる。

■人口目標を14万人に

 また、同マンションに近い駅間を結ぶ自由通路沿いには、商業施設「ビナガーデンズ テラス」もオープンした。担当者は「大人をターゲットとした施設でフロアごとにコンセプトを設定しており、まちの発展とともに海老名駅周辺再開発全体の顔となる施設として位置づけています」とアピール。駅周辺に少なかったお酒を楽しめる飲食店や高級スーパーなどが軒を連ねる。

 市も大規模再開発に期待を寄せる。市の人口は30年1月1日現在で13万1412人で、市独自推計による人口のピークは35年の13万7千人とみているが、駅周辺の再開発やさまざまな転入増加策もあり、市では人口目標を14万人に設定している。市の江下裕隆・まちづくり部都市計画課長は「『まち』がにぎわいを失うことなく、持続的に発展することを目指して、官民が一体となってまちづくりを進めていくことを期待している」と話す。

 発展に向けた絶好のチャンスをどこまで生かせるか。開発に向けて行政と民間双方の手腕に注目が集まっている。

2018.2.14 16:20
産経ニュース
http://www.sankei.com/life/news/180214/lif1802140034-n1.html