文部科学省は14日、高校の学習指導要領の改訂案を公表した。世界史・日本史の枠にとらわれずに近現代を学ぶ「歴史総合」や、選挙権年齢の引き下げを踏まえ主権者教育を充実した「公共」などの科目を新設。課題解決へ向けて探究する力を伸ばすため「主体的・対話的で深い学び」の実現を求めた。2022年度の入学生から順次実施する。

 高校の指導要領改訂は09年以来9年ぶり。意見公募を経て17年度中にも告示する。

 地理歴史や公民では、韓国と中国がそれぞれ領有権を主張する竹島(島根県)、尖閣諸島(沖縄県)を「我が国固有の領土」と教えることを初めて明記。従来は「日本の領域をめぐる問題にも触れる」(地理A)といった記述にとどめていた。

 歴史総合は世界史に代わる必修科目。「世界の中の日本」を捉え、領土問題など現代の諸課題を形づくった近現代史を学ぶ。知識の習得に加え資料を使って課題について考えたり、議論したりする。同じく必修科目となる「地理総合」では地図を管理・加工する地理情報システム(GIS)を使えるようにする。

 新科目の公共は、法律や政治制度を理解したうえで模擬裁判や模擬選挙などに取り組む。情報を効果的に集め、公正に判断するメディアリテラシーも伸ばす。

 国語科では「現代の国語」を新設。これまで扱いが少なかった実用文の読み書きを学ぶ。実用文は20年度導入の大学入学共通テストでも出題される見込みで、入試改革を見据えたといえる。数学や理科の考え方を使って課題を解決する「理数探究」も新設する。

 暗記偏重を避けるため生物の重要語数を「500〜600程度」と初めて明記。地理歴史の語数の目安は賛否両論があるとして示さなかった。

 卒業に最低限必要な単位数は74単位で変わらない。文科省によると、指導要領の分量は文字数ベースで現行の1.5倍程度になる。教員の若返りなどを踏まえ、教え方などを細かく書き込んだ。

2018/2/14 17:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26884250U8A210C1000000/