子どもへの体罰を大人の6割近くが容認していることが、子どもを支援する公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」の調査でわかった。子育て中の親の約7割は実際に体罰の経験があり、調査担当者は「軽い体罰から問題が深刻化する事例もある。体罰をなくすことが虐待予防にも重要だ」と指摘する。

 調査は昨年7月、全国の20歳以上の男女で子どもがいる1万人、子どものいない1万人の計2万人にインターネットで実施した。

 「しつけのために、子どもに体罰をすることに対してどのように考えますか」との問いに「積極的にすべき」の回答が1・2%、「必要に応じてすべき」が16・3%、「他に手段がないと思った時のみすべき」が39・3%で、計56・7%が体罰を容認した。

 容認する具体的な体罰は「お尻をたたく」が69・3%で最多だった。「手の甲をたたく」の65・5%、「ほおを平手でたたく」の30・7%が続いた。「ものを使ってたたく」は11・1%、「拳で殴る」は9・4%、「加減せずに頭をたたく」は8・1%が容認した。

 また、18歳以下の子どもがいる回答者から1030人を抽出して追加で調べたところ、70・1%がしつけとして子どもをたたいたことがあるとした。「子どもの言動に対してイライラする」「孤独を感じる」「育児、家事、仕事の両立が難しいと感じる」といった悩みを日常的に抱えている親ほど、経験があった。

 同法人は、体罰によらない子育てを学ぶ研修などを、地方自治体で実施すべきだと提言した。(西村圭史)

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
報告書『子どもの体やこころを傷つける罰のない社会を目指して』発表−国内2万人のしつけにおける体罰等に関する意識・実態調査結果−
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=2659

2018年2月15日18時36分
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL2H55CNL2HUTFK00L.html?iref=comtop_8_04