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長年にわたるキリスト教とイスラム教の確執を考えるとにわかには信じ難いが、もとをたどればどちらもユダヤ教を起源とする宗教だ。
またコーランには聖母マリア及びイエス・キリストを称賛する内容の章が存在しており、それがマッタ氏の言う「第3番目の章『イムラーン家』」である。
判決の最後にマッタ氏は「今回の判決は、イスラム教が聖母マリアに対し抱く敬意と愛について3人に学んでもらうことを目的としている」といった声明を出しているが、
イスラム教徒の少年らにイスラム教の基本、そして同時にキリスト教に対する寛容さを学ぶ機会を与えたこの試みは
「法律とは学校のように学ぶべきものであり、刑務所のように刑を与えるだけの手段ではない」と話すマッタ氏の考えが強く反映したものと言えるだろう。

この寛容な判決は、レバノンでは今までなかったものだったため世間を驚かせたと同時に、各方面で称賛の声があがっている。
レバノンの首相サアド・ハリーリ(Saad Hariri)氏は自身のツイッターで「マッタ氏による判決は正義そのものであり、イスラム教徒とキリスト教徒の共生への促進となる」と述べている。
また汚職対策担当相ニコラス・トゥエニ(Nicolas Tueni)氏も、マッタ氏の判決は社会問題や宗教的不寛容解決の手助けとなる新たな司法的取り組みの道を開くものだと語っている。