就活時、マクロ経済の悪化で就職できなかった就職氷河期世代が40代になろうとしています。少子化による人手不足で採用環境が改善する一方で、スタート時点で仕事の経験を積むチャンスを失った30代後半〜40代前半世代の中には、非正規雇用のまま、疎外感を味わいながら働いている人が多くいます。そんな彼らの窮状が、一橋大学経済研究所の小塩隆士教授の研究で明らかになりました。ライターの西川敦子さんがリポートします。【毎日新聞医療プレミア】

 ◇就活時の挫折体験がその後の幸福度に大きく関係

 就活での挫折体験が、その後の人生における幸福度に影を落とす−−。一橋大学経済研究所の小塩隆士教授らは、全国レベルのインターネット調査(男性3117人、女性2818人対象)に基づいて行った研究(2011〜15年プロジェクト)で、こんな傾向を明らかにした。

 「目的は、初職(社会人になった時の就職状況)がその後の人生にどのような影響を及ぼすかを探ることです。とくに、正規雇用以外の人の就業状況、所得、婚姻状態、さらにメンタルヘルスについて分析しました」(小塩さん)

 研究によれば、初めての仕事が非正規雇用だと、その後の非正規のキャリア期間が長くなり、現在の仕事も非正規である確率が高まるという。15年の総務省調査によると、不本意非正規(正社員として働きたいがその機会がなく、非正規雇用で働いている人)は約315万人にのぼる。

 また小塩さんの調査では、現在の生活満足度について「不満」と答えた人は、男性の場合、初職が正規雇用なら43%だが、非正規雇用は62%と、正規を大きく上回った。女性も専業主婦・主婦パートを除くと、正規は41%で、非正規は45%だ。

 米国の経済学者カーンは、就職時のマクロ経済状況が良好でないと、その後の賃金、昇格が不利になるという研究結果を発表しているが、氷河期世代で正社員の職に就けなかった人は、まさにその例に当てはまる。

 ◇「初職が非正規」の人は抑うつ度が高い

 もうひとつ研究で明らかになったのは、「社会人生活を非正規としてスタートした人は、抑うつの度合いも高い」という事実だ。

  「それでなくても、一般に非正規社員は正社員より所得が少ない。その分、メンタルが悪化しやすいことは容易に想像がつくのですが、たとえ所得が同じ水準であったとしても、正社員と非正規とでは、非正規のほうがストレスを抱えやすいことが浮き彫りになりました」(小塩さん)

 調査結果をもとに、「ケッスラーの6」という尺度でメンタルストレスを測ったところ、現在の所得などの影響を差し引いて分析しても、初職が非正規の男性の数値は、初職が正規の男性の約1.27倍だった。

 面接のたびに人格を否定されたと感じたことで深く傷つき、立ち直れなくなってしまった人もいるだろう。労働問題に取り組むNPO法人POSSE(ポッセ)の調査によれば、11年時点で、就活生の7人に1人がうつ状態だった。

 「親からの虐待や学校でのいじめを受けた子どもは、大人になっても幸福感を得にくいとされます。それと同様に、就職氷河期の過酷な経験が、長く尾を引く場合があるのではないでしょうか」

 そのうえ、非正規労働者は将来の雇用不安を常に抱えている。年金や保険などのセーフティーネットも、正社員に比べればもろい。「老後はどうなるんだろう」「病気になったら……」という心配は、年齢を重ねるごとにリアルなものになっていく。何より、組織や社会からの孤立感、疎外感は、人によっては自己肯定感を打ち砕き、根の深い悲しみや怒りとなる。

 ◇出会いの少ない派遣女子と「稼げない」非正規男子

 ただし、非正規といってもひとくくりにはできない。小塩さんは「表現が適切かどうかわかりませんが」と断ったうえで、「女性の場合、ライフコースは人によってさまざま。正社員、あるいは高収入男性と結婚している“勝ち組非正規”と、未婚の“負け組非正規”とでは大きく状況が異なります」と指摘する。

 「子育てがひと段落し、家計補助 のために働いている主婦と、大学卒業後、正社員としての就職が決まらず、派遣社員の収入で生計を立てている未婚女性とでも立場は違います。後者のほうがよりストレスフルな状況にあると推測されます」

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★1)02/18(日) 13:03:17.28
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