スルメイカ不漁・高値の中、来年度からロシアからのイカ輸入が可能になる見通しに、イカの加工業者などは期待を寄せている。経済産業省が先月末に発表したイカ輸入割当案によると、4月前後から輸入が始まるイカの輸入割当は、同時に発表された追加枠案を含めて8万6950トン。さらに、新たにロシアからの輸入を認める方針を示している。
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水産商社・加工メーカーの合食は14日に東京都内で開いた展示商談会で、担当者がロシア産冷凍スルメイカについて「試験操業の段階では、生食用やアッパークラスの塩辛原料でも(品質面で)問題ない」と説明した。「早ければ9月にも日本に搬入されるのでは」とし、将来的にロシア側の輸出体制が整えば、日本への輸入量は2万〜3万トンほどになるとみる。
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ロシアでは深海性のイカを獲ってロシア国内市場へ供給する一方、表層付近にいるスルメイカはほとんど漁獲されていなかった。合食は4年ほど前から現地の水産会社と協力し、ロシアでスルメイカ試験操業を実施。サハリン沖のモネロン島周辺や北方領土周辺の海域で、船凍トロール船がスケソウダラ漁開始前の8〜10月上旬に操業する。
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「試験操業の段階では、生食用でも品質的に問題はなかった」と合食。2018年度は、同社単独でロシア産スルメイカ1000〜2000トンの輸入を目指す。「ロシア産は日本産に一番近いスルメイカ。面白い産地になるのでは」と期待を寄せる。
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17年の生鮮、冷凍を含めた国内スルメイカ水揚量は、大不漁といわれた16年をさらに下回る5万3963トン(全漁連まとめ)。昨年は日本付近の海水温が高く、本来日本近海にいるスルメイカがロシア水域まで北上しているとされている。
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スルメイカの輸入は上限の数量が制限され、対象の原産国にロシアは指定されていなかった。同社は試験操業の結果を踏まえ、関係団体とともにロシアからの輸入を認めるよう省庁へ繰り返し陳情。来年度からの輸入実現見通しにこぎつけた。

2/21(水) 11:57
みなと新聞
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