先の大戦の末期、日本の多くの都市は連日アメリカの戦略爆撃機B29による激しい焼夷弾絨毯爆撃を受けていた。そして最後は、広島と長崎にあの忌まわしい原子爆弾が投下されたのである。

しかし、多くの歴史的建造物と文化遺産で彩られた文化都市「京都」は激しい爆撃対象からずっと外され、しかも一度は原爆投下目標に設定されながら直前に突然変更されていた。

ネトウヨの重鎮百田さんは、これを単なる戦略上の選択に過ぎずありがたがる必要などないと言っているが、果たしてそうだろうか?

ここに、戦時中の米国戦争情報局が米国民の対日戦意を高揚し戦時国債の購入を促す目的で制作された、ある短編映画がある。

タイトル「My Japan」(私の日本)も随分変だが、それは日本人MCが米国民に日本を紹介するという体裁をとっているためである。また勿論、多くの時間が日本軍の残虐行為や戦争完遂に総力を傾ける異様な日本人の姿に割かれている。

しかしまず、音を消して見てみて欲しい。特に、下記の時間辺りである。

My Japan (1945)
https://www.youtube.com/watch?v=X6_WB0My0U4
01:20 田園風景、日本庭園、錦鯉
02:00 和服美女、富士山
02:30 隅田川の桜
04:00 鎌倉大仏
14:15 富士山、神社仏閣、和服美女、桜
https://en.wikipedia.org/wiki/My_Japan

随所にちりばめられた美しい日本の風景と、MCが連呼する「Japan is lovely」(日本は麗しい)は、果たして戦意の高揚に必要だったのだろうか?
また、これを見た米国人は「よし自分も国債を購入して、あの日本をめちゃくちゃに破壊しよう」と思えただろうか?

俺は絶対違うと思う。京都への原爆投下に反対したヘンリー・スティムソン米陸軍長官も、きっと同じ思いだったに違いない。

百田尚樹:アメリカは第二次世界大戦の時にも、文化遺産を大切にし、京都や奈良を爆撃しなかったと思っているマヌケな日本人
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/496821778576977920

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘンリー・スティムソン#原子爆弾への関与

The man who saved Kyoto from the atomic bomb - BBC
京都を原爆から救った男 … BBC
http://www.bbc.com/news/world-asia-33755182