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 2017年の冷凍野菜の輸入量が、初めて100万トンを突破した。国産野菜の高騰を受け、割安感を訴求できる商材として小売店が売り込みを強め、需要が急激に高まっている。そのままゆでたり揚げたりして食べられる、調理の簡便性も支持を集める。産地関係者は「国内野菜産地の大きな脅威になっている」と警戒する。(音道洋範)

 財務省の貿易統計によると、冷凍野菜(調製品含む)の輸入量は1990年代後半から増加傾向で推移。2017年に過去最高を更新した。中国産と米国産が大半を占め、炒め物に使うミックスベジタブルや煮物向けの土物類など、主に業務向けに取引されてきた。

 17年の輸入量は100万9000トンで、前年を7%上回った。増加が目立つのが葉茎菜類で、ブロッコリーが4万9000トン、ホウレンソウが4万6000トンと、共に7%増。日本冷凍食品協会は「業務用だけでなく、国産野菜の高値を受けて、家庭用の消費が伸びている」と分析する。

 全体の 4割弱を占めるジャガイモは、37万8000トンで8%増。16年産の国産が 不作となり、高値が続いたことが響いた。肉料理の添え物やスープなどに使われるスイートコーンは、7%増の5万4000トンだった。

 小売りの販売の伸びも目立つ。大手コンビニエンスチェーン「ローソンストア100」では、1月の冷凍野菜全体の売り上げが前年同月に比べ2割増えた。特にブロッコリーやホウレンソウは5割も増えた。1袋100円で品ぞろえする値頃感が受けたとみており、同社は「価格が変動しやすい生鮮野菜に比べ、消費者の注目が集まっている」と指摘する。

 首都圏の中堅スーパーも「生鮮で高値が続いた葉茎菜類を中心に、冷凍野菜の売り上げが2、3割増えた」と説明する。

 今後もまとまった輸入が続くとの見方が強い。東京都内の別のスーパーは「共働き家庭の増加で、カット野菜や総菜のように手軽に調理できる商材として定着している」と指摘する。

 産地には警戒感が広がる。ホウレンソウなどの冷凍野菜を製造・販売するJA宮崎経済連は「産地にこだわりを持たない加工業者は、割安な輸入物の仕入れを強める動きが高まっている」と指摘。さらに輸入冷凍野菜の出回りが増えれば、「生鮮を含めた国産の需要が奪われかねない」と不安視する。

2/26(月) 7:05
日本農業新聞
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