■熊を見張る警備犬から「転職」

 国内や海外からの客でにぎわうサッポロテイネスキー場で、11歳の北海道犬のギン(雄)が看板犬として人気を集めている。人間ならば60歳ほどのギンは、ほほ笑んでいるような細い目とふわふわの毛の愛らしさが特徴。スキー場のアイドルとして親しまれている。

 粉雪がちらつく中、リフト乗り場前で名札を下げ、スキー客をじっと見つめるギン。この季節は客の出迎えが日課だ。愛らしい姿を撮影するスキー客も多い。東京から訪れた教師の中村裕子さん(38)は、カメラを構えながら「毛がふさふさしていてかわいい」とギンの背中をなでた。

 ギンは10年ほど前に旧テイネオリンピア遊園地で熊を見張る警備犬として、雌のシェパード「ベル」と一緒に飼われた。遊園地は2010年に休園。ベルは同年に病気で死に、ギンは遊園地と同じ加森観光が運営するスキー場に連れて来られた。雪降る日も1匹でリフト乗り場に立ってきた。

 ギンの世話をするのはスキー場を運営する加森観光の阿部一有さん(54)。ギンは天気の良い日には雪の上に横になり、ひなたぼっこをするのが好き。営業時間外は管理事務所内の小屋におり、阿部さんの顔をじっと見つめるのが外で遊びたい時の合図。客が少ない時はゲレンデで散歩することもある。

 乗り物も好きでスキー場内の移動用のスノーモービルにも喜んで乗るという。阿部さんは「ギン目当てに九州から来るお客さんもいる。完全にテイネスキー場のアイドルです」と話す。

 他のスタッフもギンにぞっこんだ。スキー場内にあるハイランドスキーセンターのショップ店員采女(うねめ)美和さん(37)は、5年前に勤め始め、すぐギンのとりこに。今はカレンダーや缶バッジなどを作って販売している。昨夏には写真共有アプリ「インスタグラム」にギンのアカウントを開設した。雪原にたたずむ姿や昼寝する様子などを載せ、現在フォロワーは約400人。采女さんは「ギンは最高の癒やし。体が動く限りスキー場にいてほしい」と話す。

 阿部さんは、年をとってもみんなに愛され、元気に看板犬を務めるギンを見て「無理をせず、今後も皆さんにかわいがってもらえればうれしい」。ギンが末永くスキー客を和ませてくれることを願っている。

看板犬「ギン」
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リフト乗り場の前で、ほほ笑むように目を細めるギン
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スキー客から頭をなでてもらうギン。人なつこく温和な性格だ
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2/27(火) 15:21
北海道新聞
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