http://s.kyoto-np.jp/top/article/20180227000180

 滋賀県や京都府などの河川に生息する魚の分布を水中に放出されたDNAを使って推測できたと、京都大フィールド科学教育研究センターの中川光助教らが発表した。実際に個体を観察して確認するよりも簡単な生態調査の実現につながる。米科学誌に28日、掲載する。

 環境保全のため地球上の生物多様性の維持が重視される中、生物個体の観測には労力がかかることが課題だった。水に暮らす生物の多様性を調べるには、採取した水に含まれる表皮やふんなどに由来するDNAを分析することが有用とみられていたが、精度は未確認だった。

 中川助教らは、2014年8〜10月のうち10日間、滋賀県や京都府など51河川の102カ所から水を採取。DNAを解析したところ、琵琶湖博物館などが魚を実際に観察して把握していた44種のうちアユやヤマメなど38種を確認できた。またこれまで観察記録のなかった場所でもハスやハリヨのDNAを検出した。
 中川助教は「DNAを使っても高い精度で生態調査できると分かった。今後、藻類や昆虫などほかの種でも調べてみたい」と話す。

2018年02月28日 00時00分配信