昨年3月5日の県消防防災ヘリコプター墜落事故を受け、今春の防災ヘリ運航再開を目指す県消防防災航空隊(松本市)に28日、共同運航する民間航空会社から派遣されたパイロット2人と整備士1人が着任した。24日には同社からリース機の「ベル412型」が同隊に配備済みで、事故から1年を前に、運航再開に向けた態勢が整った。

 同隊は機体点検などを経て、3月上旬に飛行訓練を開始。4月下旬?5月上旬をめどに、ヘリによる救急搬送や消火活動を再開する。

 着任したのは民間航空会社「ジャネット」(山梨県甲斐市)派遣のパイロットの中山藤雄さんと福田義久さん、整備士の原口高弘さん。中山さんは約3920時間の飛行経験があり、以前に長野県消防防災ヘリの操縦士を務めた。福田さんは総飛行時間約7920時間で、和歌山県の消防防災ヘリの操縦士経験者。

 28日午前、3人は県営松本空港(松本市)内の県消防防災航空センターで隊員らを前に自己紹介し、「よろしくお願いします」とあいさつ。同センターの滝沢重人所長は「県の消防防災航空態勢の再構築を図る上で協力をお願いしたい」と述べた。3人は受け取った隊服を着て早速格納庫に向かい、他の隊員から機体の点検手順などを聞いた。

 同隊は安全対策として、機長席と副操縦席にパイロットが搭乗する「ダブルパイロット制」を導入。事故前に行っていた山岳遭難救助については、県が設けた検討会で活動範囲などを議論しながら、段階的に再開する方針だ。共同運航と並行して自前パイロットの養成を進め、自主運航再開を目指す。さらに県は、数年後の新機体購入を視野に、購入の検討会を4月に設置する。


信濃毎日新聞 2月28日
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180228/KT180228FSI090004000.php