3/2(金) 21:26配信
<国民栄誉賞>基準あいまい 首相の政治判断大きく

 安倍晋三首相は2日、平昌冬季五輪フィギュアスケート男子の金メダリスト、羽生結弦選手に国民栄誉賞の授与を検討するよう指示した。実現すれば2012年末の第2次安倍内閣発足後、7人目になる。ただ、対象者を選ぶ基準はあいまいだ。時の政権には浮揚効果への期待も透ける。


 羽生選手はけがを克服して同種目で66年ぶりの五輪連覇を果たした。さらに、菅義偉官房長官は2日の記者会見で「かつて仙台を本拠地に活動し、東日本大震災による被災を乗り越えた」と説明。震災から間もなく7年を迎えることも考慮したとみられる。

 国民栄誉賞表彰規程は、賞の目的を「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉をたたえる」と定めており、首相が対象者を選ぶ。首相官邸幹部が「基準はあってないようなもの」と認めるように、実際の選考は首相の判断によるところが大きい。

 平昌五輪で日本勢は冬季史上最多の13個のメダルを獲得した。会見で羽生選手以外にも授与する可能性を問われた菅氏は「選手一人一人が真摯(しんし)な精進によってさまざまな試練を乗り越え、スポーツの持つすばらしさを国民に実感させた」とかわした。

 五輪関連では、柔道3連覇の野村忠宏氏、競泳男子で2大会連続2冠の北島康介氏、体操男子個人総合で連覇した内村航平氏は受賞していない。

 賞が創設された1977年から2012年までの受賞者は19人と1団体。第2次安倍内閣以降はすでに6人で積極姿勢が目立つ。今年は将棋の羽生善治と囲碁の井山裕太両氏に授与したばかりだ。

 13年5月にプロ野球の長嶋茂雄、松井秀喜両氏が同時受賞した際には「おじいちゃんから孫までの心をつかむ」(首相周辺)という解説があった。一方、同年夏に参院選を控えていたことから、野党は「人気取りだ」と批判した。【遠藤修平、高橋克哉】

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